1990 Fiscal Year Annual Research Report
孵化直後における鶏脂質代謝の特異性と初期栄養による制御
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02660292
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋葉 征夫 東北大学, 農学部, 助教授 (30005631)
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Keywords | 鶏 / 初期栄養 / 脂質代謝 / エネルギ-利用性 / 免疫能 |
Research Abstract |
鶏の孵化直後の栄養(初期栄養)および脂質代謝の特異性を解明することにより、鶏の初期成長時の栄養の意義を明らかにし、さらに成長と代謝生理を初期栄養により自在に制御することを目的として、以下の成果を得た。 (1)飼料エネルギ-の代謝率と脂肪の吸収率を、ブロイラ-の孵化直後から1日ごとに詳細に測定する方法を開発した。この手法を用いて測定したところ、孵化当日および孵化後1日齢時の飼料エネルギ-の代謝率と脂肪の吸収率は2週齢時の約80%程度の能力しかないことが判明し、孵化直後では栄養素の利用性が極めて小さいことが明らかとなった。 (2)腹腔内に残存する卵黄を外科的に除去したヒナと正常ヒナのエネルギ-の代謝率と脂肪の吸収率を比較したところ、ほとんど差は認められず、残存卵黄は飼料栄養素の吸収と利用性には影響しないものと考えられる。 (3)ブロイラ-の孵化当日の血漿脂質濃度は2あるいは4週齢時の約2倍の濃度にあり、高脂血の条件下にあることが示された。また、肝臓中の脂質濃度も極めて高く、しかもトリグリセリドおよびリン脂質の割合が少なく、反対にコレステロ-ルエステルが全脂質の約70%を占めており、脂質代謝でも孵化直後のブロイラ-は特異な生理条件にあることが確かめられた。 (4)孵化後3日齢時における中鎖脂肪の利用性は長鎖脂肪(イエロ-グリ-ス)に比べて高く、中鎖脂肪および中鎖脂肪酸は脂肪吸収能が未発達の孵化直後のヒナに給与する脂肪源として有用であることが分った。 (5)体液性の免疫能の指標として血漿中のIgG濃度を測定した所、孵化1日前および孵化当日では低く、1日齢時で急上昇した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 村上 斉・秋葉 征夫・堀口 雅昭: "孵化直後におけるブロイラ-ヒナのエネルギ-と蛋白質の利用性ー鶏の初期栄養に関する研究" 日本畜産学会報. 59. 890-895 (1988)
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[Publications] H.Murakami,Y.Akiba & M.Horiguchi: "Nutritional aspects in early growth postーhatch of broiler chicks" Proc.18th World's Poultry Congress. 970-972 (1988)
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[Publications] Y.Akiba,M.Takenaga,H.Murakami & M.Horiguchi: "Developmental changes postーhatch of metabolic efficiency of energy and digestive enzymes in brotler chicks" Proc.8th European Poultry Conference. 360-365 (1990)
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[Publications] H.Murakami,Y.Akiba & M.Horiguchi: "Growth and utilization of nutrients in newly hatched chick with or without residual yolk removal" Growth,Development and Aging. (1991)