1991 Fiscal Year Annual Research Report
エラスチンを構成する新アミノ酸アロデスモンンの生合成と生理機能に関する研究
Project/Area Number |
02660293
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
須山 享三 東北大学, 農学部, 助教授 (70005635)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 弘 東北大学, 農学部, 教務職員 (80089797)
|
Keywords | エラスチン / 架橋アミノ酸 / アロデスモシン / アルド-ル架橋 |
Research Abstract |
動物体結合組織を構成するタンパク質は、筋肉タンパク質についで含量が多く、細胞間マトリックスを形成して動物細胞の増殖や機能分化に関わっている他、臓器の構築にも関わっている。結合組織タンパク質には架橋構造が存在して機能を発現するが、これは複雑な構造を持つことで知られる架橋アミノ酸によって構築される。 本研究室において、今回新たに"アロデスモシン"と名称付けた1,3,4,5位に分岐した四級のピリジニウム環式架橋アミノ酸を牛大動脈および肺エラスチンから分離した。このアミノ酸は分子量が655であり、既知タンパク質の構成アミノ酸では分子量が最大である。同アミノ酸はアルド-ル縮合反応を重要な中間体として、生体内における合目的的な反応により生合成されると考えられた。そこで、エラスチンにおけるアルド-ル架橋アミノ酸の分離を試み、世界で初めてアルドシンと名ずけたアミノ酸を分離同定し、アロデスモシンの予想生合成反応機構の実証に成功した。さらに、アルド-ル架橋のモデルとして2ーメチルー2ーペンテナ-ルを用い、一級アミンとの縮合反応を行い、1,2,3,5ーおよび1,3,4,5ー位に分岐した各種の含ピリジニウム環化合物の生成することを認め、アロデスモシンの生成機構の一端を明らかにした。アロデスモシンの分離は極めて困難であったが、その分離に活性炭を用いる方法を開発し、本方法により将来医療応用に資すると考えられる、架橋アミノ酸の調製法も開発することが出来た。蓄産動物体内のアロデスモシンの分布はカウンタ-イオンを用いたODSカラムにより分離ができたので、定量を試みたところ、牛の組繊別エラスチン間に、含量の差異は検出できなかった。生体防制作用の見地から四級ピリジニウム化合物の抗菌性を調べた結果、抗菌性は炭素数により強く影響されることを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 須山 享三: "Isolation and Structural Identification of a New Crossーlinking Amino Acid,Allodesmosine,from the Acid Hydrolysate of Elastin" Agricultural and Biological Chemistry. 55. 547-554 (1991)
-
[Publications] 須山 享三: "動物体結合組織タンパク質の架橋構造と機能 ーとくにエラスチンの架橋についてー" 化学と生物. 29. 90-98 (1991)
-
[Publications] 中村 文彦,須山 享三: "Silica gel highーPerformance liguid chromatography of the determination of Crossーlinbs in elastin" Journal of Chromatographic Science. 29. 217-220 (1991)
-
[Publications] 中村 文彦,須山 享三: "牛項靭帯,大動脈および肺を素材としたピリジニウム環含有架橋アミノ酸の分離調製" 日本蓄産学会報. 62. 186-193 (1991)
-
[Publications] 須山 享三: "Aldosine,an Acid Hydrolysis Product from the Aldol Crossーlink of Bovine Elastin and Collagen" Agricultural and Biological Chemistry. 55. 3147-3149 (1991)
-
[Publications] 須山 享三: "Aldosine,a new amino acid derived from aldol crossーlinK of elastin and callagen" Proc.1st lntn.Cont.Amino Acid Res.,. (1992)