1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660313
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
村上 昇 宮崎大学, 農学部, 助手 (80150192)
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Keywords | 概日リズム / 生物時計 / バゾプレッシン / 行動リズム |
Research Abstract |
1.明暗条件下で飼育されるラットの行動の日内リズムを自作の行動記録計でモニタ-した。行動は暗期に集中して観察された。そこで明暗条件を8時間前進,もしくは後退し、どの位の日数でこの新たな明暗条件に再同調するかを検討した結果、約6日間を要した。これは従来の時差ボケの解釈で説明される現象であるが、この明暗条件変化後に直ちに恒常暗下に移すと、約2日で再同調している事が判明した。すなわち、ラットの生物時計そのもののリズムは、非常に早く、変化した光条件に再同調できるのに対し、行動リズムなど末端の発現するリズムの再同調には逆に、かなりの日数を要するものと解釈される。 2.自由継続リズムを示す盲目ラットあるいは、LL条件下飼育ラットの視交叉上核の近傍にGABAペレットを埋没し、周期に及ぼす効果を調べた。その結果、盲目ラットでは有意な変化は認められなかったが、LL条件下ラットでは周期の延長効果が認められた。これは、光のリズムに対する影響に、GABA系神経が関与している事を示唆した。 3.胎児ラットの生物時計部位の視交叉上核を細胞培養し、単離培養細胞が、in vitro内で時計機構を示す事が出来るか否かを検討した。細胞接着因子ラミニン存在下で、遊離細胞は著しく成長が促進され培養器内で、神経線維同士の連絡による神経回路網を形成した。この状態で、細胞還流を行い、2時間おきの回収液中のバゾプレッシンの濃度をラジオイムノアッセイで測定した。その結果,42例中12例において、27時間周期の日内リズムを4日間観察できた。これは生物時計(哺乳類)の細胞培養において、世界で始めてリズムを記録できた事を示す。
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[Publications] N.Murakami,M.Takamure,K.Takahashi,K.Utunomiya,H.Kuroda,T.Etoh.: "Longーterm cultured neurones from rat suprachiasmafic nucleus rerain the capacity for circadian oscillation of vasopressin release." Brain Research.(1991)
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[Publications] M.Takamure,N.Murakami,K.Takahashi,H.Kuroda.T.Etoh.: "Rapid reーentrainment of the circadian clock itselt,but not measurable rhythms,to a new lightーdark cycle in the rat." Physiology and Behavior. (1991)
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[Publications] 村上 昇: "鳥類松果体細胞の時計及び光情報に関わる蛋白合成" 家畜繁殖学雑誌. 35. (1990)
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[Publications] 高橋 清久,大川 匡子,村上 昇: "ほ乳動物のリズム同調機構:特に臨床応用面から" 神経研究の進歩. 34. 892-900 (1990)
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[Publications] 高橋 清久,村上 昇: "神経科学レビュ-" 医学書院 (伊藤正男編集), 314 (1990)