1991 Fiscal Year Annual Research Report
ラット血管および肛門尾骨筋のノルエピネフリン収縮におけるセカンドメッセンジャ-の役割
Project/Area Number |
02660319
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
浦川 紀元 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 教授 (10011834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 一政 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (80060531)
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Keywords | ラット大動脈 / ラツト肛門尾骨筋 / フェニレフリン収縮 / 細胞内Ca^<2+>レベル / セカンドメッセンジャ- / Ca^<2+>括抗薬 / Ca^<2+>感受性 |
Research Abstract |
ラット大動脈および肛門尾骨筋におけるα作動薬の収縮反応は,種々の阻害剤の適用の効果から,Ca^<2+>流入,Ca^<2+>遊離および収縮蛋白系のCa^<2+>感受性の増加に関連することが前年度の研究で示された。平成3年度は、大動脈および肛門尾骨筋におけるα_1作動薬のフェニレフリン収縮のCa^<2+>感受性の変化を中心に,収縮張力とfura2法による細胞内Ca^<2+>(〔Ca^<2+>〕i)レベルの変化を同時に測定し,両筋のCa^<2+>感受性の差違について比較検討した。大動脈と肛門尾骨筋はフェニレフリンおよび高濃変K^+を累積適用すると,収縮張力と〔Ca^<2+>〕iレベルはいずれも用量依存的に増加して正の相関関係を示した。しかし大動脈において,フェニレフリンは高濃度K^+と比較して同じ〔Ca^<2+>〕i量でより大きな収縮を生じたが,肛門尾骨筋においてその差は小さかった。両筋のフェニレフリン収縮時にCa^<2+>括抗薬およびEGTAをそれぞれ適用すること,〔Ca^<2+>〕iは静止レベルかそれ以下に減少するが,収縮張力は大動脈で一部残存した。Ca^<2+>除去液中で大動脈はフェニレフリンの適用により一過性の収縮と〔Ca^<2+>〕iレベルの増加がそれぞれ観察されたが,肛門尾骨筋はこれらに対して無影響であった。以上の結果から,ラット大動脈および肛門尾骨筋におけるフェニレフリン収縮はともに受容体を介するCa^<2+>流入に依存しているが,細胞内蓄臓部位からのCa^<2+>遊離作用との関連は肛門尾骨筋で極めて少しいことが認められた。さらに,大動脈において見られるCa^<2+>感受性の増加作用は,肛門尾骨筋では小さく,またCa^<2+>非依存性の収縮機構は存在しないと思われる成績が得られた。これらの成績により,ラット肛門尾骨筋は大動脈において見られるセカンドメッセンジャ-,特にイノシト-ルリン脂質の代謝回転による代謝物との関連性が少い特徴を有する筋である可能性が示唆された。現在、これらの点についてさらにスキンドファイバ-を用いた実験で検討中である。
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Research Products
(1 results)