1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660333
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
勝部 泰次 日本大学, 農獣医学部・獣医学科・獣医公衆衛生学研究室, 教授 (50072880)
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Keywords | cobacterium avium intracellulareーscrofulaceum complex (MAIS) / 非定型抗酸菌症 / 疫学 / 血清型 / 豚 / 人畜共通伝染病 / グリコペプチドリピッド(GPL) / 薄層クロマトグラフィ-(TLC) |
Research Abstract |
豚の非定型抗酸菌症の疫学、ならびに本症が人畜共通伝染病としての性格を有するか、否かを解明するための基礎的研究として、豚および患者由来 Mycobacterium aviumーintracellulareーscrofulaceum complex (MAIS)について細菌分類学的検討を行った。豚由来MAIS 208株中 182株(87%)が血清型別可能であり、13種の血清型と15種の混合血清型に型別された。単一血清型に型別されたもののうち、8型の検出率は24%ともっとも高く、ついで4型あるいは9型(各8%)、10型(7%)、6型(5%)の順であった。混合血清型では6・8型がもっとも高く17%であり、ついで4・8型(2%)であった。また、生化学性状および血清型別により3株が1型、2型、または3型と同定された。患者由来MAISでは、99株中わずかに5株(5%)が型別されたのみである、4型、9型各2株、1型1株であった。豚由来株は、鶏に比較的強い病原性を示すが人から分離されることの少ない“intermediate"(4ー6、9ー11型)型が主であり、人から分離される頻度の高い“authetic"(7、12ー20型)の検出率は低かった。菌体より抽出したグリコペプチドリピッド(GPL)の薄層クロマトグラフィ-(TLC)における移動度(Rf)を検討したところ、血清型4、6、8、10でそれぞれに特異的な移動度を示すことが観察された。このTLCは、上記の4血清型に限り、自発凝集能を示す血清型別不能株にも応用可能であることが証明された。豚由来1型は鶏に対して病原性を示し、肝臓、脾臓、肺に肉芽腫病変が形成された。また、本菌から抽出したGPLは、M. avium標準株のGPLと同様のRf値を示した。これらの事実から、わが国では極めて希とされていたM. aviumが豚に分布していることが明らかにされた。したがって豚の非定型抗酸菌症は公衆衛生上注目すべきものと考えられた。
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