Research Abstract |
非定型抗酸菌症の疫学における役割を明確にするための基礎研究として,今年度は患者由来M.aviumの血清型別,M.avium(豚由来1型,鳩由来2型,標準株1型)の鶏(白色レグホン,雌,40ー70日齢)に対する病原性について検討した.患者由来M.avium20株のうち,凝集反応により型別できたのは12株(60%)であり,1型4株,2型8株,型別不能8株であった.これらの菌株より抽出したペプチドグリコリピド(PGL)の薄層クロマトグラフィ-(TLC)における移動度で"化学的血清型"を検討したところ,18株(90%)が型別され,1型6株,2型10株,3型1株,8型/M.intracellularel株,型別不能2株であった.凝集反応の型別成績はPGLのそれと一致した.また,凝集反応で型別不能であった8株のうち6株はPGLの移動度により,1型(2株),2型(2株),3型(1株),または8型/M.intracellulare(1株)と同定された.凝集反応による血清型別の成績とPGLによる"化学的血清型"別の成績を組み合わせると,型別率の向上と,型別における精度の上昇が可能となることが明らかにされた. 豚由来M.avium1型,または標準株M.avium1型の静脈内接種(10^7)で死亡(18ー43日)または殺処分された鶏(30ー70日)では,肝臓の腫大,充血,脆弱化,脾臓,膵臓,腎臓に結核結節の形成が見られ,投与菌は肝臓,脾臓より回収された.また,標準株1型について,ラフ(R)型集落,スム-ス(S)型集落の鶏に対する病原性を比較したところ,R型はS型より強い病原性を示した.輸入レ-ス鶏の皮膚の結節病変より分離されたM.avium2型は,接腫鶏の肝臓,脾臓などに結核結節を形成した.わが国においても,人,動物にM.aviumによる自然感染が発生していることが確認された.
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