Research Abstract |
東京都内の主に高層ビル内にあるレストラン16カ所および神奈川県内のと畜場1カ所で捕獲したネズミ(主にクマネズミ,Rattus rattus)約1,000匹について各種人畜共通感染症原因微生物,寄生虫の保有,汚染状況を調査し,つぎのような成績を得た。 1.レストランのネズミ(大腸内容物)における各菌種の検出状況は、Salmonella1.5%(17/1129),Yersinia31.6%(364/1169),Campylobacter0%(0/519),Staphylococcus aureus18.1%(165/910),Vibrio13.2%(67/508),Listeria monocytogenes15.6%(85/543),Leptospira0%(0/257)であった。Campylobacterの検出には2種の増菌培地(Preston培地とButzlerーVirion培地)を用い,またLeptospiraの検出には腎臓乳剤をフレッチャ-培地のみならず,モルモット接種も行ったが,両菌種とも全く検出されなかった。 2.と畜場のネズミについてはSalmonella23.1%(6/27),Yersinia77.8%(21/27),Campylobacter7.4%(2/27),Staphylococcus aureus34.6%(9/26),Vibrio15.4%(4/26)であった。 3.レストランのネズミ約300匹における内部寄生虫の検出状況は縮小条虫5.6%,小型条虫2.0%,嚢尾虫0.6%,肝毛頭虫1.5%で,その他広東住血線虫などは検出されなかった。 4.レストランのネズミ由来Salmonella(1検体1株,17株)の出現血清型はS.typhimurium6株,S.hadar3株,S.isangi2株,S.litchfield2株,S.enteritidis1株,S.senftenberg1株,S.8:2_<10>;ー2株,またと畜場のネズミ由来株ではS.saintpaul2株,S.anatum1株,S.give1株,S.panama1株,S.3,10:ー:一株であった。レストランのネズミ由来株の血清型は,近年東京都内の下痢患者由来株の血清型と種類,頻度において著しく類似しており,以前にネズミ個有とも見做されていたS.enteritidisはむしろ減少し,出現血清型の多様化が認められた。
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