1991 Fiscal Year Annual Research Report
仙骨神経叢各枝の梨状筋貫通の多様性と神経の貫通序列の形成機構について
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02670002
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
千葉 正司 弘前大学, 医学部, 講師 (40003652)
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Keywords | 坐骨神経 / 梨状筋 / 仙骨神経叢 / 神経線維解析 / 脊髄分節構成 / 仙前椎 / 変異 / 肉眼解剖学 |
Research Abstract |
正常例2例と異常例18例において、仙骨神経叢の層構築と梨状筋支配神経の筋内分布について追究した。 1.脊髄分節構成は、脛骨神経が第4腰神経(L4)〜第3仙骨神経(S3)、総腓骨神経はL4〜S2、後大腿皮神経はS1〜S3、上殿神経と下殿神経はともにL4〜S2、梨状筋の支配神経は、筋束が分離してもS1〜S2、の場合が多く、仙骨神経叢並びに各神経の分節構成と梨状筋貫通現象との間に、有意の関係は存在しなかった。 2.上殿神経は神経叢の最も背側に、次に下殿神経が背側に位置し、この腹側面では頭側に総腓骨神経、尾側に後大腿皮神経背側根が重なり、S2の高さで後2者の境界は連続して、3神経がともに貫通、上孔通過することが実証された。梨状筋貫通の内側型の一部では、同一神経でも分節の高い神経成分が腹側を、分節の低い成分が背側を経過し、そこでは貫通の原則(分節が高く、背側の神経ほど梨状筋を貫通しやすい)は破られ、総腓骨神経と後大腿皮神経の貫通序列が逆転し、同時に、下殿神経同士の交叉現象を伴った。 3.上殿神経尾側枝は、その神経主部より遠位で神経叢背側面に起こると、梨状筋を頻繁に貫通して、中殿筋背側部、稀には中殿筋と梨状筋の移行筋束に分布した。梨状筋は、総腓骨神経の背側、中間、腹側に位置し、その支配神経は上殿神経尾側枝から脛骨神経背側面に漸次由来し、また脛骨神経を貫く異常筋は、脛骨神経背側に起こる筋枝で支配された。筋枝の共同幹形成と筋内吻合によって、中殿筋背側部から梨状筋腹側筋束(脛骨神経を貫く異常筋を含む)の筋集団は、個体発生学的に、同一筋原基からの派生が示唆された。 4.梨状筋は総腓骨神経を囲繞して発達し、その状態が貫通例となり、背側筋束より前の筋原基が発生しないか退化して正常例が生じ、上孔通過例は、貫通例における頭例筋束の中殿筋背側部への癒合として導かれる。
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