1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670003
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Research Institution | Akita University School of Medicine |
Principal Investigator |
山崎 正博 秋田大学, 医学部, 助教授 (70004603)
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Keywords | 解剖学 / 動脈系 / 甲状腺 / 胸腺 / スンクス / 食虫類 |
Research Abstract |
食虫類に属するスンクス雌雄各30頭について,今年度は甲状腺と胸腺の動脈分布を調査した.この動物は真獣類の最も基本的な位置を占めるが,その成績をこれまで同様の調査を行って来た.これより下等な有袋類と高等なウサギ,モルモット,ラットおよびヒトの成績と比較検討した. 甲状腺の動脈は最も種類の多いモルモット程ではないが,ウサギに次いで多く,この3種で1群をなす.一方最も単純なのは肉食有袋類で,これにラット,草食有袋類とヒトが属し,大きく2群に分れることが明らかになった.即ち,スンクスではヒト型の上甲状腺動脈は少なく,外頚動脈から起る上喉頭動脈に終る上甲状腺動脈と総頚動脈の遠位半分から起る下喉頭動脈に終る中甲状腺動脈(仮称)の2種が圧倒的に多い.ウサギとモルモットではこれ以外に総頚動脈の近位半分から起る下甲状腺動脈があるが,この名称はヒトでは主として甲状頚動脈から起り,ウサギやモルモットでは鎖骨下動脈や内胸動脈から起る同名動脈と紛らわしいが,これまでの研究から後者は気管・食道動脈と称すべきものと考えられる.また甲状腺動脈自体,本来上・下の喉頭動脈であると言う方が本質を表しているとの結論を得た. 胸腺動脈はウサギとヒト程種類は多くなく,むしろ肉食有袋類に次いで少ない.しかし,有袋類とラットには全く出現しない,胸腺と甲状腺に同時に枝を送る中胸腺甲状動脈の出現頻度がヒトに次いで多く特異的であるが,このことは甲状腺と胸腺の分離がそれ程完全ではないことを示していると言える. 以上の結果から食虫類のスンクスの両腺動脈は程度の差はあるが,分類学的位置と一致して有袋類とその他の種の中間にあると言える.今後食虫類とウサギ類の間に位置する翼手類,およびヒトとの間に位置するツパイと原猿類の調査が必要である.
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Research Products
(1 results)