1991 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成における上皮成長因子受容体の発現と局在に関する免疫組織化学的研究
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02670007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩田 浩平 京都大学, 医学部, 教授 (80109529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 誠 京都大学, 医学部, 助手 (30232341)
森 千里 京都大学, 医学部, 助手 (90174375)
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Keywords | 上皮成長因子受容体 / 免疫組織化学 / 器官発生 / 二次口蓋 / 器官培養 / マウス胎児 / ヒト胚子 / 肝腫瘍 |
Research Abstract |
1.培養マウス胎児口蓋における上皮成長因子受容体(EGFーR)の発現と口蓋裂発生との関連 妊娠12日のマウス胎児から口蓋部分を切り出して無血清培地で24〜72時間培養し、口蓋組織におけるEGFーRの局在とその経時的変化を免疫組織化学的に調べた。その結果、培養二次口蓋の上皮と間葉においては、in vivoとほぼ同様のEGFーRの局在と経時的変化が観察された。 培地にallーtrans retinoic acid(RA)を30〜30ng/mlの濃度で添加すると、口蓋突起上皮の転換(微繊毛をもった立方上皮から扁平上皮へ)が起こらず、口蓋の癒合が障害された。RA処理群の口蓋上皮においては、口蓋形成過程で消退するべきEGFーRの発現が異常に持続していた。このことからRAはマウス胎児口蓋におけるEGFーRの発現パタ-ンに影響することによって口蓋上皮の転換を障害し、その結果、口蓋裂が誘発されると推定された。 2.ヒト胚子組織におけるEGFーRの局在 社会経済的適応にもとづく人工流産によって得られたカ-ネギ-発生段階15〜23(胎齢23〜56日)のヒト胚子について、連続切片作製後、抗ヒトEGFーR抗体を用いた免疫組織化学的方法によってEGFーRの局在を調べた。その結果、胚子の表皮、消化管上皮、気道上皮、排泄腔上皮、心筋、脊索、軟骨原基等にEGFーR陽性反応が認められた。 3.ラット肝腫痛発生過程におけるEGFーRの発現 ラットに3'ーmethylー4ーdimethyl aminobenzenを投与して肝腫瘍を誘発し、肝組織におけるEGFーRの発現を免疫組織化学的に調べた。その結果、肝細胞結節や胆管癌の組織には強い反応は見られなかったが、腫瘍に隣接する肝組織にはEGFーRに対する強い染色反応が認められ、EGFーRが肝の再生機構に関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nakatsu,T.et al.: "Effects of retinoic acid on fetal mouse palates cultured in vitro" Teratology. 44. 16B (1991)
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[Publications] 塩田 浩平: "口蓋形成における上皮成長因子(EGF)受容体の発現と局在" 解剖学雑誌. 66. 281 (1991)
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[Publications] Minote,H.et al.: "Immunohistochemical study on epidermal growth factor receptor during carcinogenesis in the rat liver" Arch.Japon.Chirurg.
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[Publications] Higashide,S.et al.: "Expression of the epidermal growth factor receptor after partial pancreatectomy in adult rats:An immunohistochemical study" Arch.Japon.Chirurg.