1991 Fiscal Year Annual Research Report
好中球の刺激応答における膜裏打ちタンパク質の関与とその分子機構
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02670008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 京都大学, 医学部, 助教授 (50115929)
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Keywords | 好中球 / フォドリン / バンド4.1 / 走化性 / 細胞運動 / 膜骨格 / 免疫細胞化学 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
1.前年度の研究により、ヒト好中球におけるフォドリンが細胞膜直下と細胞骨格の両方に見られ、またその局在が短時間に変化することが明らかになった。今年度は細胞膜直下に存在するフォドリンについてさらに詳細な解析を行った。従来の方法では細胞膜近傍の詳細な観察は不可能であったが、基質に接着した好中球の上部細胞膜を除去した標本を作成し、それについて免疫標識を行う方法を開発した(UNROOFING法)。その結果、非刺激下の細胞ではフォドリンは細胞膜に一様に存在し、一部はアクチンと思われる5nm径の繊維に結合しているのが観察された。この標本では他に10nm径の繊維や被覆(coated)領域などが観察されたが、それらには特フォドリン標識の集中は認められなかった。一方、走化性因子であるfーMetーLeuーPheの刺激を受けた細胞では、細胞の後半部分に、細胞の進行方向に直行する向きに走行する多数の10nm径の繊維束が認められるようになった。その繊維束間にはアクチン繊維に由来すると思われる不定形の物質が存在し、フォドリンの標識はその物質上に分布していた。以上の結果は、好中球のフォドリンがおもにアクチン繊維に結合して存在すること、また走化性因子の刺激を受けた細胞における細胞骨格成分の再配置にフォドリンが関与していることを示唆するものであった。 2.フォドリンの分布変化の機構についての解析をさらに深める目的で、他の細胞についても種々の刺激下における状態を検索した。その結果、カルシウム濃度の増減により分化状態を変動させた表皮角化細胞、および創傷治癒過程にある角膜上皮細胞においても、短時間の内にフォドリンの分布に重大な変化が生ずることを見いだした。また湊NROOFING法を培養クロマフィン細胞に応用し、フォドリンを示す標識が細胞膜近傍の2ー3nm径の繊維構造に一致して存在すること、また被覆(coated)領域に頻繁に重複して見られることを見いだした。
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[Publications] 藤本 豊士: "フォドリンの局在とその機能" 電子顕微鏡. 25. 152-158 (1991)
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[Publications] Toyoshi Fujimoto: "Immunocytochemical localization of fodrin and ankyrin in bovine chromaffin cells in vitro" The Journal of Histochemistry and Cytochemistry. 39. 1485-1493 (1991)
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[Publications] Toyoshi Fujimoto: "Immunoelectron microscopy of fodrin in the unroofed specimen of the adherent human neutrophil" Acta Histochemica et Cytochemica. 25. (1992)
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[Publications] Masayo Takahashi: "Distributional change of fodrin in the wounded corneal epithelium in vivo" Investigative Ophthalmology and Visual Science. (1992)
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[Publications] Toyoshi Fujimoto: "第六回日本電子顕微鏡学セミナ-予稿集" 日中電子顕微鏡学セミナ-実行委員会, 125 (1991)
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[Publications] Toyoshi Fujimoto: "Electron Microscopic Cytochemistry and Immunocytochemistry in Biomedicine,eds.by K.Ogawa and T.Barka" CRC Press,Inc.,Boca Raton,