1991 Fiscal Year Annual Research Report
“超薄切"脳標本による脳内移植アミン性細胞の生理学的・薬理学的研究(正常発育過程にある中枢アミン性ニュ-ロンとの対比)
Project/Area Number |
02670054
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松田 好弘 長崎大学, 医学部, 教授 (20025638)
|
Keywords | 脳幹 / モノアミン性ニュ-ロン / 脳薄切標本 / 螢光標識 / 細胞機能成熟 |
Research Abstract |
前年度来、中枢モノアミン性ニュ-ロンをin vitroの実験系で同定しその機能様態を電気生理学的な反応を指標として検索するために、極薄(厚さ80ー100μm)のスライス標本を作成しこれを5.7ーdihydroxytryptamine(5,7ーDHT)で処理してアミン性細胞を蛍光標識する試みを行ってきたが、標識される細胞はその脳幹内における分布からセロトニン性ニュ-ロンと推定されてきた。細胞内染色法(Lucifer Yellowまたはethidium bromideによる)を用いてニュ-ロンの確認を行いながら、5,7ーDHTで標識された縫線核ニュ-ロンの細胞内電位記録を行ったところ、脳幹セロトニン性ニュ-ロンのものとされる反応特徴(下降相にhumpをもった経過の緩やかな活動電位、大きな膜時定数など)を認めることができた。又、5,7ーDHTによる標本処理によって、ニュ-ロンの反応はその基本的なパタ-ンに変化はないが若干の修飾を受けることが判明した(スパイク持続時間の軽度延長、transient outward rectificationの抑制)。 上記のニュ-ロン同定手法を幼若ラットから得た標本に応用して、脳幹セロトニン性ニュ-ロンの機能成熟経過を調べたところ、これらのニュ-ロンの反応上の弁別特徴は生後極めて早期(数日)の段階で既に認められた。知見を補完するために黒質ド-パミン性ニュ-ロンについても発育過程を調べたが、やはりその反応特徴は出生後早期に認められ、脳幹モノアミン性ニュ-ロンは一般に出生時においてかなりの成熟段階に達しているものと推定された。但しニュ-ロンの反応が完全な成熟型に達するのはほぼ2週齢の時点であった。移植ニュ-ロンの機能変遷については尚明確な知見が得られず追加検討が必要である。
|