1990 Fiscal Year Annual Research Report
ホ-ルセル クランプ法によるメルケル細胞の機能解明
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02670055
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小川 尚 熊本大学, 医学部, 教授 (20040181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 由朗 熊本大学, 医学部, 助手 (50128328)
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Keywords | メルケル細胞 / ラット / キナクリン / カルシウム電流 / パッチクランプ法 / カルシウムアンタゴニスト / 静止膜電位 |
Research Abstract |
初年度は、メルケル細胞膜の内向き電流について詳しく解析した。 (1)生体染色用蛍光色素キナクリンを予め投与した幼弱ラットの足底部上皮片から、メルケル細胞を酵素的に単離した。メルケル細胞は生体内では三日月形であったが、単離して培養液中に放置すると直径10μm弱の球形または楕円形になった。(2)単一メルケル細胞にパッチクランプ法のホ-ルセル様式を適用して電気的記録を行った。静止膜電位は約ー60mVであった。(3)Baを含む外液中では、脱分極性の定常電流注入によってTTX抵抗性の持続性活動電位が生じた。Naスパイクは見られなかった。(4)Kチャンネルを30mMTEAと1mM4ーAPの添加でブロックしつつ膜電圧固定を行うと、持続性の内向きCa電流(L型)のみが誘発された。(5)10mMCaを含む外液中では、Ca電流は-80mVの保持電位からー20mV以上の電位への脱分極ステップによって生じ、+10mV付近への脱分極で最大内向き電流が得られた。電流ー電圧関係における最大内向きCa電流は、外液Ca濃度の増加とともに双曲線状に増大し、約25mMで飽和した。(6)二価陽イオンに対するCaチャンネルの選択性は、Ba>Sr>Caの順であった。(7)Caチャンネルの定常不活性化曲線では、50%不活性化電位はー34mVだった。(8)有機と無機のCaアンタゴニストは、濃度依存性にBa電流をブロックした。その抑制順は、それぞれ、ωーコノトキシン>フルナリジン=ニカルジピン>ジルチアゼム>ベラパミルとLa>Cd>Coであった。(9)メルケル細胞膜に見出された電位依存性L型Caチャンネルは他の細胞に見られるL型Caチャンネルと同じ性質を示し、メルケル細胞内のシナプス前膜付近に遍在する有芯顆粒の分泌に寄与することが推測される。 外向き電流については現在解析中で、4ーAPに感受性を示すA電流と、TEAに感受性を示す遅延整流K電流の二成分の存在が明かとなっている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] YAMASHITA,Y.: "THE LーTYPE CALCIUM CHANNEL IN SOLITARY MERKEL CELLS OF RATS." Japanese Journal of Physiology. 40. S22 (1990)
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[Publications] 山下 由朗: "ラット皮膚単離メルケル細胞の外向き電流" 第68回日本生理学会.