1990 Fiscal Year Annual Research Report
慢性てんかん焦点形成における樹状突起異常電気活動の役割に関する研究
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02670060
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
丸 栄一 日本医科大学, 医学部, 助教授 (80221597)
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Keywords | 慢性電流密度解析 / 樹状突起電位 / 実験てんかんモデル / キンドリング / 発作電気活動 / 大脳辺緑系海馬 / 電気生理学 |
Research Abstract |
1.慢性電流密度解析システムの実用化: 動物が自由に行動している状態で自発的に発生した電気活動の電流密度解析が行なえる慢性電流密度解析システムを実用化した。このシステムの実施成績は、16チャネル同時サンプリングでサンプリング間隔が2マイクロ秒という高度の時間分解能が達成され、8秒間以上の自発性電気活動の電流密度解析が可能であった。しかし、電流密度解析の空間分解能に関しては未だ目標とするレベルに達していない。樹状突起電気活動の詳細を検討するには50ミクロン以下の空間分解能を必要とするため、現在、多連電極作成法の改善を試み、電流密度解析の空間分解能の向上に努めている。 2.てんかん焦点形成に伴う樹状突起異常スパイク: 空間分解能が低いため十分な電流密度解析が行えない現状であるが、神経細胞樹状突起のてんかん性異常電気活動に関して以下の予備的知見を得た。キンドリングてんかん焦点形成前には、海馬顆粒細胞の樹状突起は特に目立った異常電気活動を示さなかった。しかし、キンドリング刺激を繰り返していくと、激しい後発射(Afterdischarge)が誘発される直前に樹状突起の比較的細胞体に近い部分から、振幅1mV以上のスパイクが発生するようになった。この異常スパイクは、細胞体近傍の記録では陽性に反転した吹き出し電流を伴っていることなどから、樹状突起に発生した活動電位の同期性集合電位であると考えられる。また、この樹状突起異通スパイクは激しい発作性電気活動中や、発作間歇期において散発的に発生する脳波スパイク中にも観察された。現在、空間分解能を高めた慢性電流密度解析システムを用いて、この樹状突起異常スパイクと発作性電気活動との関係を探ると共に、てんかん焦点形成前の徐波睡眠期スパイクでも類似の樹状突起スパイクが発生しているか否か検討中である。
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