1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670066
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
彼末 一之 大阪大学, 医学部, 助教授 (50127213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梁瀬 素子 大阪大学, 医学部, 助手 (30220198)
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Keywords | 視床下部 / 体温調節 / 一側性 / ふるえ / 皮膚血管反応 |
Research Abstract |
種々のホメオスタシス維持に視床下部が重要な役割を果たしていることは言うまでもない。体温調節系においても視束前野・前視床下部(POAH)がその最高位の位置にあり、下位の調節系を統御していると考えられている。ところでPOAHは第3脳室によって左右に分かれている。最近の研究によるとラットで一側の視床下部を電気刺激または加温すると同側の唾液線から強い分泌がおこるという。この結果は左右のPOAH間には(温熱性唾液分泌の調節に関しては)情報のやり取りの無いことを示唆する。それでは体温調節を“統御"する中枢が二つ存在して、しかもお互い独立に機能しているのだろうか。この問題を検討するために本研究では皮膚血管反応・寒冷暴露によるふるえが一側のPOAH加温でどのように影響されるかを検討した。2種類の実験を行った。1)皮膚血管反応ウレタン麻酔下でラットの左右POAHに高周波加温用の電極と温度測定用の熱電対が一体になったものを埋め込む。左右の後肢足底に皮膚血管反応の指標である皮膚温測定用の熱電対を装着する。一側のPOAH電極に高周波電流(500kHz)を通電して局所の温度をランプ状に上昇させたところ、左右の足底血管とも拡張した。その拡張閾値は同側の足底が低かった。2)ふるえネンブタ-ル麻酔下で実験1)と同様、左右のPOAHに電極を埋め込み、左右の大腿四頭筋に筋電図測定用の針電極をうめこむ。ラットを5℃の環境温に暴露して安定したふるえの出現後に一側のPOAHを加温したところ、左右のふるえが全く同期して抑制された。以上の結果は体温調節の個々の調節反応毎に左右POAHからの遠心性信号の支配様式の異なることを示唆する。
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