1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670073
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
山田 誠二 産業医科大学, 医学部, 助教授 (20094451)
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Keywords | 運動強度 / 免疫応答 / 細胞性免疫 / Tリンパ球サブセット / カテコ-ルアミン |
Research Abstract |
運動による免疫応答は、運動量、運動強度、頻度により変化すると予想される。今回、運動強度変化に注目し、運動強度を変化させた時の免疫機能変化、内分泌機能変化を測定して、免疫機能からみた至適健康運動強度を検討した。方法:健康成人男子6名(23.1±1.0歳)を被験者として、トレッドミルにて、4km/h、7km/h、10km/hの3段階の運動強度の異なる運動強度で、各10分間漸増的な運動負荷をくわえた。この間心拍数を連続的にモニタ-し、採血は安静時(1回)、各運動負荷速度での運動負荷中(3回)、運動負荷終了後の回復時(5分後、30分後の2回)の計6回行った。細胞性免疫機能の指標として、Tリンパ球サブセット(CD4,CD8,CD4/8比)を検討し、内分泌機能としては、カテコ-ルアミン(ノルアドレナリン、アドレナリン、ド-パミン)、ACTH、コ-チゾル、心房性Na利尿ホルモン(ANP)を測定した。結果:運動負荷速度が7km/hを越えると、Tリンパ球のサブセット比(CD4/8比)を指標にした免疫能が有意に低下し、運動負荷終了とともに復した。各種ホルモン濃度も運動とともに有意な変動がみられた。これらの速度での運動負荷は、20歳台の6名の男子健康成人被験者の最大酸素摂取量の20〜90%の運動負荷となった。運動強度の指標としての心拍数と関係の深い測定値を直線回帰して求めた結果、心拍数とノルアドレナリンの関係が相関係数が最もよく、r=0.92であった。(y=1.68xー30.9)。ついで、アドレナリンと心拍数との関係で、r=0.89であった(y=1.95xー8.1)。一方、心拍数とCD4/8比との関係は、y=ー0.43x+19.3(r=ー0.87)と逆相関が高い事が明かとなり、運動強度の増強とともに免疫機能が低下することが明かとなった。各被験者個人別について、運動負荷強度と免疫機能を検討してみると、最大酸素摂取量の50%までは、CD4/8比は対照値に比して、上昇するものも認められたが、60%を越えると明かに対照値より減少した。結論:以上のことより、運動強度の強い運動は、かえって免疫機能を下げる可能性が示唆され、運動処方の際には、至適運動強度の決定が非常に重要であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山田 誠二: "運動強度変化にともなう免疫応答" 日本生理学雑誌. 52. 119 (1990)
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[Publications] 山田 誠二: "健康の保持増進のための運動指導者養成の現状" 産業医科大学雑誌. 13. 53-60 (1991)
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[Publications] 山田 誠二: "免疫機能からみた至適運動強度" 日本生理学雑誌.
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[Publications] 山田 誠二: "免疫応答からみた健康運動強度" 産業医学.