1990 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体および大脳のソマトスタチン受容体の機能と発現調節機構
Project/Area Number |
02670074
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
木村 信子 (財)東京都神経科学総合研究所, 分子神経生物学研究部門, 主任研究員 (70100138)
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Keywords | ソマトスタチン / 受容体 / 下垂体培養細胞 / 神経培養細胞NS20Y / エストロゲン / 甲状腺ホルモン / ポリADPーリボ-ス合成酵素阻害剤 |
Research Abstract |
ソマトスタチン(SS)は細胞膜の受容体に働き、種々の腺分泌を抑制し、脳では神経伝達を修飾する。受容体活性は、ホルモン産生異常時、脳疾患に伴って、また、ラットの下垂体でエストロゲンに依存的に、大脳で生後発達の過程に伴って変動する。この様な受容体活性変動の調節のメカニズム、その生理的意義については不明の点が多い。本研究の目的は、下垂体や脳のSS受容体の調節する体液性因子を明かにする事、エストロゲン(E_2)の活性調節機序について明かにする事、大脳の生後発達に伴う活性変動の生理的意義を明かにする事である。本年度は次の様な結果を得た。(1)ラット下垂体前葉の初代培養細胞のSS受容体活性に影響する因子について検索を行った。前葉ホルモン(GH,PRL)の合成や分泌に影響するgrowth factor(EGF,IGF,insulin,TGF,IL2)は、効果を示さなかった。E_2受容体と構造的に類似の受容体をもつホルモンの中では、甲状腺ホルモンに効果が認められ、この作用はポリADPーリボ-ス合成酵素阻害剤(nicotinamide,3ーaminobenzamide)によって相乗的に増強された。この時誘導される受容体の分子量を、架橋剤を用いて調べたところ、E_2により誘導されるものとは異なっており、作用機序の相違が認められた。株化GH_3細胞においても、甲状腺ホルモン作用は同様に認められた。しかし、発現する受容体分子量はE_2によるものと同一の大きさを示した(投稿準備中)。こられの分子サイズの違いは何に基づくものかは今後明かにしたい。(2)脳のSS受容体活性変動が生後発達の初期にみられる事から神経細胞の分化と関連しているのではないかと考えられる。NS20Y細胞はアセチルコリンの合成を表現型とするが、今回、始めてSS受容体の存在を明らかにした。この細胞は、甲状腺ホルモンやDMSO等によって分化が誘導されるので、現在これらの薬剤を用いて神経分化との関連性について検索中である。
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Research Products
(1 results)