1991 Fiscal Year Annual Research Report
カリウムチャンネル開口薬の血管拡張作用機序に関する研究
Project/Area Number |
02670076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳澤 輝行 東北大学, 医学部, 講師 (90133941)
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Keywords | カリウムチャンネル開口薬 / クロマカリム / アゴニスト収縮 / Furaー2 / 細胞内Ca^<2+>濃度 / Ca遊離 / 冠動脈 / 拡張 |
Research Abstract |
Kチャンネル開口薬(KCO)は一般にagonist収縮を比較的よく抑制することが知られている.そこでこの研究では,Furaー2を細胞内に取り込ませたイヌの左冠動脈リング標本を用いて,細胞内Ca濃度([Ca^<2+>]_1)を張力と同時に測定して,thromboxan A_2 analogueであるU46619のagonist取縮作用に対するKCOの作用を検討した.20mM KC1で脱分極するとU46619の[Ca^<2+>]_1の増加作用と収縮は低い濃度から生じ,一方cromakalimにより過分極するとU46619の[Ca^<2+>]_1の増加作用と収縮は顕著に抑制された.さらにcromakalimの[Ca^<2+>]_1の減少作用を20mMKClで遮断して過分極作用が現われないようにするとU46619ではcontrolと同様に[Ca^<2+>]_1が増加した.KCOによるagonist収縮の抑制作用は膜電位を過分極にすることで,電位依存性Lーtype Caチャンネルを開きにくくしagonistによる[Ca^<2+>]_1の増加作用を抑制するためと考えられる. 次にagonistのもう一方の収縮機構である筋小胞体(SR)からのCa遊離作用について検討した.細胞外液のCa^<2+>を0として,U46619による一過性の[Ca^<2+>]_1と張力の上昇に対する作用を検討すると,cromakalimはこの反応を抑制した.cromakalimの抑制作用は,Kチャンネルブロッカ-のTBAで結抗され,[K^+]。を20mMとすると打ち消された. cromakalimはcaffeineによるCa遊離作用に影響しなかった.さらに,U46619とcaffeineとを続けて作用させると,それに応じてCa遊離が見られた.cromakalim存在下ではU46619によるCa遊離は抑制されるものの,caffeineによるものは抑制されずむしろ大きくなった.このようなU46619のCa遊離抑制作用は他の特異的なKCOによっても観察されているすなわち,KCOは,thomboxane A_2受容体をはじめとしたagonistを介する1P_3によるCa遊離をも選択的に抑制すると考えられる.
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[Publications] 柳澤 輝行、平 則夫: "Kチャンネル開口薬のAgonist収縮抑制作用." Therap.Res.12. 1836-1842 (1991)
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[Publications] 柳澤 輝行: "心不全治療薬としての選択的β_1ー部分活性薬の意義." Japan.Circ.J.55. 323-325 (1991)
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[Publications] Yuji OKADA,Teruyuki YANAGISAWA&Norio TAIRA: "An analysis of nitrateーlike and K channel opening actions of KRN2391 in canine coronary arterial smooth muscle." Brit.J.Pharmacol.104. 829-838 (1991)
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[Publications] Masaaki KAGEYAMA,Toyoki MORI,Teruyuki YANAGISAWA&Norio TAIRA: "Is staurosporine a specifilc inhibitor of protein kinase C in intact porcine coronary arteries?" J.Pharmacol.Exp.Ther.259. 1019-1026 (1991)
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[Publications] 柳澤 輝行: "血管平滑筋のKチャネルとそのモジュレ-タ-." 心臓. 24. 215-221 (1992)
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[Publications] 柳澤 輝行: "心筋stretchとイオンチャンネルの話題ーーKチャンネルを中心に" 医学のあゆみ. 161. (1992)
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[Publications] Teruyuki YANAGISAWA,Hitoshi YOKOYAMA,Hideo KUROSAWA,Kuniaki ISHII&Norio TAIRA:"Recent Progress in Failing Heart Syndrome:from Molecular Biology to the Treatment.Sasayama S.&Suga H.(ed.)" SpringerーVerlag, 22 (1991)
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[Publications] Teruyuki YANAGISAWA&Norio TAIRA: "Electrophysiology and lon Channels of Vascular Smooth Muscle Cells and Endothelial Cells.Nicholas Sperelakis&Hiroshi Kuriyma(ed.)" Elsevier, 12 (1991)