1990 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜タンパク質,シスチン・グルタミン酸交換輸送担体の構造・機能解析
Project/Area Number |
02670103
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 哲郎 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (20111370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂内 四郎 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (70019579)
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Keywords | アミノ酸輸送 / シスチン / グルタミン酸 / 細胞膜 |
Research Abstract |
シスチン・グルタミン酸交換輸送系(xc^^ー)は,10年程前に坂内によってヒト二倍体培養細胞に発見された輸送系である。この輸送系は,細胞内へのシスチンの取り込みを行い,その結果グルタチオンの成合を促進させる作用がある。この輸送系を構成する担体タンパン質の実体は不明であり,その解明が本研究の第一目標である。本輸送担体タンパク質は,多様な酸化的ストレスに晒された細胞に酸導される新しいストレスタンパク質と考えられる。マクロファジ-や血管内皮細胞は,本輸送活性を誘導する能力を持つことから,免疫機能や血管機能の保全との関連に興味が持たれている。アフリカツメガエル卵母細胞での活性発現アッセイ法がこの輸送担体の構造決定に利用可能であるかどうか検討した。有利な点として次3点があげられる,1.カエル卵母細胞はシスチンとグルタミン酸を取り込む活性が低い,2.細胞内総アミノ酸プ-ルの約40%がグルタミン酸であるために[ ^3H]シスチンが交換輸送で充分量取り込まれる可能性がある,3.本輸送活性は誘導がかけられるため,cDNAを用いて差し引き法や±法等の簡便なスクリ-ニングの併用が可能である。実際に,酸素とジエチルマレイン酸によってxc^^ー系の活性が酸導されたマウスマクロファ-ジよりmRNAを精製し,カエル卵母細胞へ注入したところシスチン輸送活性の発現が観察された。この活性は,グルタミン酸で阻害されるが基質とならないアスパラギン酸によっては全く阻害されないことから,xc^^ー系の活性と断定できた。シスチン取り込み活性の感度を上げるために温度効果を検討した。通常卵母細胞を用いたアッセイは20℃で行われているが,37℃では20℃に比べて数倍のシスチン取り込み速度が見られた。この結果はスクリ-ニングの信頼度を上げるために重要である。
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