1990 Fiscal Year Annual Research Report
ミュタジェネシスによるキニノ-ゲンのシステインプロテア-ゼに対する反応部位の解析
Project/Area Number |
02670114
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
大久保 岩男 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80152073)
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Keywords | ミュタジェネシス / キニノ-ゲン / システインプロテア-ゼ / 反応部位 |
Research Abstract |
血漿中に存在する高分子及び低分子キニノ-ゲンは、システインプロテア-ゼであるカテプシンB、H、LやカルパインI、II、パパイン、フィシンに対する非常に強いインヒビタ-である。両キニノ-ゲンのこれらのプロテア-ゼに対する阻害機構は非共有結合・非競合阻害であることが知られている。また両キニノ-ゲンに共通の重鎖上に占めるドメイン2と3に反応部位が存在すると考えられている。その反応部位のアミノ酸配列はGlnーValーValーAlaーGly(QVVAG)で表され、もう一つはこの配列より約44残基N末端側に存在するGlycineを含む2〜3残基のアミノ酸であると推定されている。本研究ではヒト低分子キニノ-ゲンに対するcDNAを用い、これにsite directed mutagenesisの技法を使って、キニノ-ゲン重鎖上のドメイン2や3、さらにQVVAG領域の欠損した、またこのQVVAGやGlycineとその近傍のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した低分子キニノ-ゲンを真核細胞に発現させる。その培養メディウムに分泌されてくる新たな変異低分子キニノ-ゲンを精製し、それらの有するシステインプロテア-ゼインヒビタ-(シスタチン)としての活性が如何に変化するかを明かにし、キニノ-ゲンのシスタチンとしての真の反応部位がどこにあるのかを明らかにしようとする。 平成2年度における研究計画のうち、低分子キニノ-ゲン重鎖上のドメイン2、3領域の欠損蛋白質の作製は終了し、ワイルドタイプの低分子キニノ-ゲンともども、BHK細胞での発現を試み、確かに発現されているところまで確認した。現在Glycine及びその近傍のアミノ酸の置換を行った変異蛋白質の作製を行っており、BHK細胞での発現が成功次第、これらワイルドタイプ及び変異低分子キニノ-ゲンの精製とそれらの生化学特性について検討する予定である。
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