1990 Fiscal Year Annual Research Report
上皮増殖因子レセプタ-の産生制御に関与する細胞内情報伝達機構
Project/Area Number |
02670115
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
蒲生 忍 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90122308)
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Keywords | 増殖因子 / レセプタ- / 遺伝子発現 / 情報伝達 |
Research Abstract |
EGFレセプタ-(EGFR)の発現制御は発現のONーOFFを决定する制御と、EGFや発癌プロモ-タ-TPAなどにより促進される“誘導的"制御がある。 EGFRを細胞当り1x10^5個持つヒト肺腺癌細胞株A549を用いてEGFやTGFβTPAが誘導するEGFR遺伝子の発現促進の機構をノ-ザンブロット法により解析した。A549細胞を30分間TPA(20ng/ml)で処理するとその後3ー5後間でEGFR mRNAは対照の数倍に増加し、24ー48時間後に対照レベルに復帰した。また、EGF(50ng/ml)で30分間処理するとその後約3ー4時間でEGFR mRNAは約2倍に増加し、8時間後には対照レベルに復帰した。一方、TGFーβ(1ng/ml)は4時間の処理でEGFR mRNAを約1.5倍に増加させた。TGFーβはEGFと共存すると相剰的にEGFR mRNAを増加させた。TPAとEGFの添加後30分にはcーfosとcーjun mRNAの顕著な増加が検出されたが、TGFーβはcーjun mRNAのみを増加させた。従って、TGFーβはEGFやTPAとは異なるシグナル伝達経路を介してEGFR遺伝子の転写を抑制する可能性が示唆された。 また、我々はEGFR遺伝子の発現が見られない肺小細胞癌(SCLC)の細胞株(Lu134)からレセプタ-を産生する変異株(AD320)を分離した。この変異株を用いてEGFR遺伝子の発現やcーfos、cーjun、cーmyc遺伝子の発現について検討した。Lu134ではEGF処理によるcーfos、cーjun mRNAの変化は見られなかったが、TPA処理ではcーfos、cーjun mRNAの増加が見られた。EGFRmRNA、cーmyc mRNAはTPA、EGF処理後も検出されなかった。AD320ではEGFR mRNAは他のレセプタ-産生細胞と同程度に検出され、cーmyc mRNAも検出された。AD320ではEGFR mRNAはEGFやTPAで処理すると約2倍に、またcーjun、cーfos、cーmyc mRNAは数倍以上に増加した。従って、SCLC方異系が活性化されることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shinobu GAMOU: "Regulation of the epidermal growth factor receptor gone expression in a morphological variants isolated from an epidermal growth factor receptorーdeficient small cell lung carcinoma cell line." Cell Growth & Differentiation.1. 351-359 (1990)
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[Publications] Masako MITSUMATA: "Proliferative response of arterial intimal smoth muscle cells to epidermal growth factor in vitro." Annals New York Academy of Science.598. 535-537 (1990)