1991 Fiscal Year Annual Research Report
好中球Ca^<++>依存性リン脂質結合39kDa蛋白:遺伝子発現によるその性質の解析
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02670124
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
内海 耕慥 高知医科大学, 医学部, 教授 (90032862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枝重 圭祐 高知医科大学, 医学部, 教務職員 (30175228)
田中 良和 サントリー基礎研究所, 研究員
秋丸 国広 高知医科大学, 医学部, 教務職員
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Keywords | 好中球 / アネキシン / Ca^<++>リン脂質結合蛋白質 / 遺伝子発現 / オカダ酸 / 系統発生 / Cーキナ-ゼ |
Research Abstract |
(1)本年度も昨年度に引き続き、まず好中球に特異的である39kDa蛋白質のcDNAを発現ベクタ-に組み込み、HLー60細胞で過剰に生産させ、その細胞の代謝応答の変化から39kDa蛋白の細胞内での機能を検討することを試みた。昨年に引き続きメタロチオネインプロモ-タ-を含むベクタ-を使用したが、39kDa蛋白を高発現するクロ-ンは得られなかった。さらに高発現プロモ-タであるSRαを含むベクタ-を構築し、現在、高発現クロ-ンをスクリ-ニング中である。同時に、このベクタ-に39kDa蛋白のcDNAの5'末端のATGを含む100bpのアンチセンスcDNAを挿入し39kDa蛋白のアンチセンスベクタ-を構築し、HLー60細胞にtransformationし、分化に対しどのような影響を与えるか検討中である。 (2)HLー60細胞は、発癌プロモ-タ-であるTPA刺激と同様にオカダ酸(セリン、スレオニンフェスファタ-ゼ抑制剤)によってもマクロファ-ジ様細胞に分化し、同時に39kDa蛋白が、その分化に伴い蛋白及びmRNAの発現が誘導される事を昨年度に明らかにしたが、オカダ酸による分化はTPAに比較して培養皿に付着する時間が8時間遅く、その付着時間と並行して39kDa蛋白も発現することを明らかにした。 (3)39kDa蛋白はヒスチジン残基を6ヶ所もつが、ジエチルビロカ-ボネイト処理による1個のヒスチジン残基の修飾により膜結合が抑制され、されに伴いホスホリパ-ゼA_2阻害活性も減少することが明らかとなった。なお現在、このヒスチジン残基の位置を検討中である。 (4)抗組み換え39kDa蛋白抗体により動物界における39kDa蛋白の分布を検討した結果、哺乳類、両生類、ハ虫類および魚類までは明らかにその存在が認められたが、下等な生物にはその存在が認められなかった。 (5)Cーキナ-ゼによる39kDa蛋白のリン酸化は膜結合に依存し、これを阻害する薬物によりリン酸化が抑制されることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yamamoto,M.;Saeki,K.and Utsumi.K: "Isolation of human salivary polymorphonuclear leukocytes and their stimulationーcoupled responses" Archives of Biochemistry and Biophysics. 289. 76-82 (1991)
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[Publications] 佐藤 英介,内海 耕慥: "新しいCa^<++>依存性膜結合蛋白質ーアネキシン構造、性質に共通性。細胞伝達機構への関与に注目" 化学と生物. 29. 210-211 (1991)
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[Publications] Edashige,K.;Sato,E.F.;Akimaru,K.;Yoshioka,T.and Utsumi,K.: "Nonsteroidal antiestrogen suppresses protein kinase Cーits inhibitory effect on interaction of substrate protein with membrane" Cell Structure and Function. 16. 273-281 (1991)
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[Publications] 佐藤 英介,杉野 泰生,森下 誠治,小林 純郎,内海 耕慥: "抗組換え39K抗体を用いたウエスタンブッテング法による39K(アネキシンI)の系統発生的分布" 高知医科大学一般教育紀要. 7. 61-72 (1991)
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[Publications] 佐藤 英介,井上 正康,内海 耕慥: "新しいCa^<++>依存性膜結合蛋白質[アネキシン]:特にモルモット好中球内の39kDa蛋白質(アネキシンI)について" 組織培養. 18. 33-39 (1992)
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[Publications] Edashige,K.;Utsumi,T.;Sato,E.F.;Yoshioka,T.and Utsumi,K.: "Requirement of protein association with membrane for its phosphorylation by protein kinase C" Archives Of Biochemistry and Biophysics. (1992)
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[Publications] C.Heizmann: "Novel Calciumーbinding Proteins" SpringerーVerlag, 624 (1991)
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[Publications] 井上 正康 編: "活性酸素と病態 疾患モデルからベッドサイドへ" 学会出版センタ-, 600 (1992)