1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトスカベンジャ-受溶体遺伝子の構造解析とDNA多形性を用いた動脈硬化症の解析
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02670130
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
江見 充 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 研究員 (90221118)
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Keywords | スカベンジャ-受容体 / 遺伝子 / DNA多形性 / 連鎖解析 / 第8染色体 / 動脈硬化症 |
Research Abstract |
ヒトスカベンジャ-受容体遺伝子を単離する目的で、ヒトコスミドライブラリ-をスクリニ-ングし、6個のゲノミック・クロ-ンを得た。また、ラムダファ-ジライブラリ-からは2個のゲノミック・クロ-ンを得た。各クロ-ンの制限酵素地図を作製し連結したところ、約120Kbのゲノム領域がクロ-ン化され、スカベンジャ-受容体遺伝子の大きさは80Kb以上に達することが判明した。スカベンジャ-受容体には、I型、II型の2種類のmRNAが存在するが、この両者は単一の遺伝子から3'側のエキソンのalternative splicingにより生ずることがわかった。本遺伝子は11個のエキソンからなり、エキソンの構成とタンパクの機能ドメインの間に対応が認められた。すなわち、第1エキソンは5'非翻訳領域、第2エキソンは細胞質内ドメインの前半、第3エキソンは細胞質内ドメインの後半と細胞膜通過ドメイン、第4と第5エキソンはN結合糖鎖ドメイン、第6、第7、第8エキソンはコラ-ゲン様ドメインを各々コ-ドしていた。以上第8エキソンまでがI型、II型に共通のエキソンであった。さらにII型特異的ドメインとII型3'非翻訳領域が第9エキソンとして続き、次にI型特異的ドメインをコ-ドする第10エキソンとI型3'非翻訳領域をコ-ドする第11エキソンが続いた。各エキソンとその周囲のイントロンの塩基配列を決定したので、PCR法を用いて末梢血DNAから直接に本遺伝子の構造異常を迅速に検出することが可能となった。本遺伝子をプロ-ブとしてサザン・ブロッド法によるDNA多形性解析を行い、pMEsr1、pMEsr2、pMEsr3の3つの多形性DNA(RFLP)マ-カ-を単離した。これらマ-カ-とCEPH標準家系DNAを用いた連鎖解析により本遺伝子のヒト遺伝地図上の位置を第8染色体短腕上に決定した。また、これらの遺伝的マ-カ-を用いた動脈硬化症の遺伝学的関連性解析を行うことが可能となった。
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