1990 Fiscal Year Annual Research Report
Bリンパ球の活性化と癌化機構における蛋白質リン酸化とアルカリホスファタ-ゼの役割
Project/Area Number |
02670138
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
北條 洋 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90209213)
|
Keywords | ALP:アルカリホスファタ-ゼ / Bリンパ球 / PKC:Cキナ-ゼ / GPIアンカリング蛋白 / Bリンパ腫 |
Research Abstract |
1.精製したリンパ球ALPの物理化学的性状を1)各種阻害試験、耐熱試験2)ポリアクリルアミドゲル電気泳動法3)免疫学的反応4)SDSーPAGEによる分子量の測定などにより検討を加えた。リンパ球ALPはユニバ-サル型の中でも臓器特異性を示した。2.リンパ濾胞細胞を免疫組織化学的に検索すると、増殖初期(G_0〜G_1期)のマントル層Bリンパ球はIgM^+ ALP^+ IgD^-の外層細胞とIgM^+ ALP^- IgD^+の内層細胞の2つに分けられる。これらの細胞の細胞内伝達にはIgM,D,ALPとPKC typeIIとの関係が重要で、芽球化に伴いPKCの活性が急速に減弱し、マントル層細胞は濾胞中心細胞に動員されるとみなされる。PWMを用いた末梢血リンパ球の芽球化現象もinvivoの結果を裏付けた。3.末梢血リンパ球のALP陽性率は最大0.05%であった。LPS刺激後の末梢血Bリンパ球培養実験から、リンパ球の芽球化と増殖に際してALPの発現が先立つことが示唆された。4.ヒトリンパ球ALPはPIーPLCの作用で遊離した。PIーPLCの量と反応時間に依存して増加し、このALPがGPIアンカリング蛋白であることを予想させた。5.Bリンパ腫84例とB細胞培養細胞株14株におけるPKC isozymeの発現をみると1)Bリンパ腫においてもtypeIIが最も基本的なPKCで細胞内分布も正常リンパ球に一致した。2)培養細胞株ではtypeII&typeIIIが最も基本的だが、その陽性率は様々で各細胞株では微妙に異なる酵素により、蛋白質リン酸化がおこると理解された。3)typeIIIは増殖力の最も旺盛なBurkittリンパ腫のみに出現した。高い^3HーTdR摂取率を示したB細胞株にtypeII&typeIIIが出現した。^3HーTdRの取り込みからみて増殖能の最も低い1株でPKCは陰性であった。typeIIIや総PKC活性が活性化と増殖能に深くかかわることを推測させた。
|
-
[Publications] 北條 洋: "悪性リンパ腫における蛋白質リン酸化酵素の役割ーCキナ-ゼーを中心にー" 日本癌学会会誌. 79. 338 (1990)
-
[Publications] 森村 豊: "Bリンパ球の活性化機構におけるアルカリホスファタ-ゼとCキナ-ゼの役割" 日本網内系学会会誌. 30. 177 (1990)
-
[Publications] 北條 洋: "Bリンパ腫における蛋白質リン酸化反応の免疫組織学的検討" 第49回日本癌学会総会記事. 280 (1990)
-
[Publications] 森村 豊: "Bリンパ球の活性化機構におけるアルカリホスファタ-ゼとCキナ-ゼの役割" 日本病理学会会誌. 80. 91 (1991)
-
[Publications] 北條 洋: "Bリンパ球とBリンパ腫における蛋白質リン酸化酵素の免疫組織学的検討ーCキナ-ゼを中心にー" 医学のあゆみ. 155. 347-348 (1990)
-
[Publications] 森村 豊: "ヒトリンパ球アルカリホスファタ-ゼ-に関する研究ー物理化学的性状およびBリンパ球の活性化における役割検討ー" 日本網内系学会会誌. (1991)