1991 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺C細胞の分化誘導の実態とその機序の分子レベルでの解析〜ライソソ-ムラビライザ-による誘導作用とその機序〜
Project/Area Number |
02670141
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Research Institution | Wakayama Medical College |
Principal Investigator |
覚道 健一 和歌山県立医科大学, 第2病理, 教授 (00112037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹腰 進 東海大学, 医学部・病理学, 助手 (70216878)
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Keywords | C細胞 / 甲状腺 / 細胞分化 / 腫瘍分化 / 分泌 / ホルモン合成 / ライソソ-ム |
Research Abstract |
C細胞機能の発現とその調節について、甲状腺組織内でのカルシトニン(CT)の定量、CTmRNAのノ-ザンブロットによる検索とCTmRNA量の定量を行った。外来性にサケのCTを投与すると、内因性CTは減少し、血中カルシウムイオンは著明に低下する。この時血中カルシウムはCT投与量(0.5IU/kgと100IU/kg)で差がなかったが、組織中CT量は50.0±15.1ng/mg,35.2±19.0ng/mgと投与量の増加に従い低下し、コントロ-ル65.2±15.8と有意差を示した。さらに一方、CTmRNAは、低濃度投与では、コントロ-ルの94%と著変がなかったのに対し、高濃度投与により50%と有意の低下を示した。すなわち、外来性CT投与によりCTの合成はmRNAレベルでの減少、新たに合成されたCT含量の減少を来した。すなわち、外来性CTにより、血中カルシウムイオン低下に差がなかったため、血中カルシウムを介さずにC細胞機能を抑制する経路が示唆された。次にC細胞増殖能に対する影響を調べるため、増殖細胞分画について検討した。C細胞増殖能は、チミジンのアナログであるブロモデオキシウリジン(Brdu)を持続投与し、CTとBrduの免疫組織化学的二重染色によりC細胞増殖分画を検討した。C細胞のS期細胞パ-セントは、Brdu投与14日で7.2%に達したが、外来性CT高濃度投与群では2.8%、低濃度投与群では4.3%と有意に低下した。すなわち、CT投与により、C細胞のカルシトニン新生が抑制されるだけでなく、C細胞の増殖期細胞数も減少していることが判った。以上より、外来性CTはC細胞機能を抑制し、その増殖とCT合成を低下させることを判った。さらに、未分化型C細胞腫瘍HMCaに対し、紫外線照射(254nm,0.5〜30J/m^2)を行い、CT産生分泌の変化を検討した。照射10〜30J/m^2では、96〜120時間後に細胞は死滅したが、5J/m^2群では、96時間後より酵素抗体法で陰性であったCTが陽性となった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 小田 高司他: "甲状腺癌における血液型関連糖鎖抗原の変異:免疫組織化学的検討" 内分泌外科. 8. 67-72 (1991)
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[Publications] 高見 博他: "副腎皮質刺激ホルモン産生甲状腺髄様癌" 腫瘍マ-カ-研究会記録. 10. 269-270 (1991)
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[Publications] 覚道 健一他: "カルシトニンの基礎,カルシトニンの分泌調節" 骨・関節・靭帯. 4. 625-633 (1991)
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[Publications] Lertprasertsuke,N.et al.: "Functional interpretation of the kidney Juxtaglomerular apparatus using renin immunohistochemistry." Tokai J Exp Clin Med. 15. 317-326 (1991)
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[Publications] Tauchi,K.et al.: "Immunohistochemical studies of blood groupーrelated antigens in human superficial esophageal carcinomas." Cancer. 67. 3042-3050 (1991)
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[Publications] Morikawa,Y.et al.: "The role of antibodies in the regulation of delayedーtype hypersensitivity." Immunology. 74. 146-152 (1991)
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[Publications] 覚道 健一: "病理学キ-ワ-ド" 文光堂, 424 (1991)
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[Publications] 覚道 健一: "甲状腺" 文光堂, 174 (1991)