1992 Fiscal Year Annual Research Report
微小管モーター蛋白キネシンに対する抗体の作製ならびにキネシンの機能病理学的研究
Project/Area Number |
02670158
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Research Institution | SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
服部 淳夫 札幌医科大学, 医学部・病理学, 助手 (90208538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢田 典均 札幌医科大学, 医学部・病理学, 講師 (30154149)
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Keywords | キネシン / 微小管モーター蛋白 / 微小管 / チューブリン |
Research Abstract |
ブタの脳のホモジネートより、繰り返し精製する事によって、粗キネシン含有分画を得た。さらに精製し、脳実質100gあたり約20μgのキネシン蛋白を得た。 この蛋白は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動でキネシンのHeavy chainに一致する単一の124kDのバンドとして泳動された。また、この蛋白にチューブリンを添加することにより、ATPase活性は約3倍に上昇することからキネシンと同定された。この蛋白をマウスに免疫し、モノクロナール抗体を得た。抗体産生の検定には、ELISAのかわりに、Western blot法を応用した。得られた抗体のグロブリンサブクラスはIgM、κであった。この抗体を用いた酵素抗体法では、神経細胞の細胞質内にびまん性に染色されたが、培養線維芽細胞、培養神経細胞や培養肝細胞では、抗チューブリン抗体で染め出される微小管にほぼ一致する分布を示した、顆粒状の反応を認めた。蛍光抗体法による染色態度も同様であったが、感度や鮮明度では、蛍光抗体法の方が高い傾向を示した。 この抗体を利用して組織の免疫組織化学を行い、キネシン保有細胞の種類や、その細胞内局在の特徴を調べた。キネシンは、神経細胞に多く、ニッスル小体様の細顆粒状構造や、神経突起に沿って細顆粒状の染色を認めた。グリア細胞などにはほとんど染色されなかった。肝組織では、胆管上皮にやや強い染色を見たが、肝細胞には弱いびまん性の染色を見るのみであった。免疫電顕による培養神経芽腫細胞株の検索では、ライソソーム、小胞体やミトコンドリアなどに強い陽性反応が見出され、光顕での細顆粒状の局在が、小器官に相当する可能性が示唆された。培養肝細胞の免疫電顕では、細胞質内に散在性に陽性反応がみられた。しかし、極性を示す局在は認められなかった。 MDCK細胞を用いて、チューブリン重合阻害剤であるノコダゾールと、微小管脱重合阻害剤であるタキソールの存在下における細胞内キネシンの局在を観察したが、明らかな差は認められなかった。バナジン酸や、Breferdin Aの存在下においても、細胞内のキネシンの局在には明らかな変化はみられなかった。しかし、ミトコンドリアの細胞内局在は、タキソールを添加したときに核周囲に濃縮し、キネシンと異なった反応を示した。
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