1990 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞由来白血球走化性蛋白質LUCTの情報伝達機構とその発現調節に関する研究
Project/Area Number |
02670163
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
鈴木 和男 国立予防衛生研究所, 抗生物質部, 室長 (20192130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 国元 国立予防衛生研究所, 抗生物質部, 室長 (90165564)
水野 左敏 国立予防衛生研究所, 抗生物質部, 部長 (60072930)
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Keywords | インタ-ロイキン8 / 好中球 / 多型核白血球 / 走化性因子 / 酵素放出 / O_2ー産生 / 癌細胞培養液 / 血管内皮細胞 / 蛋白質りん酸化 |
Research Abstract |
【目的】我々は癌細胞培養液中に無刺激で放出される炎症性たんぱく質LUCT/ILー8を見出し、その分子性状、多型核白血球(PMN)への作用および遺伝子構造を明らかにしてきた。LUCT/ILー8はNー端のアミノ酸配列が他のILー8そのものよりも5残基長く、また、最近、血管内皮細胞からもLUCT/ILー8と同じものが単離された。そこで、活性化されたPMNによる血管内皮細胞からのLUCT/ILー8の発現・分泌の調節、およびLUCT/ILー8によるPMN活性化について検討した。さらに、LUCT/ILー8のNー末端10残基のアミノ酸配列相当のペプチド(LU10)を化学合成し、そのPMN活性化についても検討した。【方法】ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)を培養し、PMN単独あるいはcytochalasin B(CB)/fMetーLeuーPhe(FMLP)で活性化後、18時間培養した。mRNAはcytoplasmic法によりHUVECから抽出し、LUCT/ILー8N末をカバ-するプロ-ブを用いてNorthern slot blot hybrid izationにより検出した。培養上清中の走化性因子はDEAEーSepharose、RPーHPLCで精製した。酵素放出はPMNからのミエロパ-オキシデ-スの測定により、たんぱく質りん酸化は ^<32>Pー標識のPMNを刺激し後SDSーPAGEとオ-トラジオグラフィ-により判定した。【結果および考察】HUVECが放出する走化性因子はCB/FMLP刺激で増大し、RPーHPLC分析によりLUCT/ILー8と一致した。さらに、LUCT/ILー8に相当するmRNAがHUVECにおいて検出された。一方、LUCT/ILー8単独では酵素放出やO_2ー産生は認められないが、FMLP/CB誘発酵素放出を増強した。LU10はLUCT/ILー8と同程度に走化活性を誘発した。他方、LUCT/ILー8あるいはLU10によって分子量64kDのたんぱく質がりん酸化され、Ser残基が特異的にりん酸化された。以上のことからPMNのLUCT/ILー8による活性化の情報伝達機構には分子量64kDaのたんぱく質がりん酸化が関与し、また、PMNは血管内皮細胞のLUCT/ILー8産生を調節していると考えられる。
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[Publications] O.Koshio,S.Mizuno,K.Suzuki: "FormylーMetーLeuーPheーdependent serine kinase for a 64,000 molecular weight protein of polymorphonuclear leukoytes in a cell free system" Cellular Signalling. 2. 471-477 (1990)
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[Publications] 鈴木 和男: "多型核白血球/好中球のはたらき 多型核白血球の生体防御での役割:LUCT/インタ-ロイキン8を中心として" Cell Science. 6. 450-461 (1990)
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[Publications] K.Suzuki,M.Hazana,K.Uchiyama,T.Fujikura: "Phosphorylation of 64ーkDa proteim enzyme release,and increase in intracellular cAMP level of human polymorphonuclear leukocytes" J.Clin.Biochem.Nutr.8. 21-32 (1990)
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[Publications] M.Shibata,O.koshio,T.Ohoka,S.Mizuno,L.Suzuki: "Glucoseーstimulated phosphorylation of the 64ーkDa protein of human polymorphonuclear leukocytes in a cellーfree system" Immunol.Lett.24. 159-164 (1990)
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[Publications] K.Hotta,J.Ishikawa,K.Hayashi,S.Mizuno.K.Suzuki: "Coding region structure of interleukinー8 gene of human lung giant cell carcinoma LU65C cells that produce LUCT/interleukinー8:homogeneity in interleukinー8 genes" Immunol.Lett.24. 165-170 (1990)
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[Publications] 鈴木 和男: "インタ-ロイキンー8" 臨床免疫. 22. 140-146 (1990)