1990 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスを用いた悪性黒色腫発生機構の解析
Project/Area Number |
02670164
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 雅英 名古屋大学, 医学部, 講師 (40183446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 健一 名古屋大学, 医学部, 助教授 (20151441)
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Keywords | ret癌遺伝子 / トランスジェニックマウス / メラノ-マ / チロシンリン酸化蛋白 |
Research Abstract |
今回,ret癌遺伝子産物を固定する目的で抗体の作製を試みた。まずret遺伝子のキナ-ゼドメインに相当するcDNAフラグメントをT7RNAポリメラ-ゼを使用する発現ベクタ-に組み込み,細菌中に蛋白を大量に産生させた。細菌ライセ-トをSDSーPAGEにて泳動後,目的の蛋白をゲルより溶出し,ウサギに免疫することにより抗ret抗体を得た。得られた抗体はウェスタンブロット法にて,ret癌遺伝子でトランスフォ-ムしたN1H3T3細胞及びトランスジェニックマウスに発生したメラノ-マより確立された細胞株中にともに約100kdと96kdの2種の蛋白を特異的に検出した。これらの細胞株をさらに核成分,細胞質可溶成分,細胞質膜成分に分画し,ウェスタンブロットを行ったところ,これら2種の蛋白は主に膜成分に存在し、一部細胞質可溶成分にも検出できた。 つぎに我々は上記の細胞株をツニカマイシンで処理し、糖鎖を切断後ウェスタンブロットを行った。その結果,抗体は92kdのバンドのみを検出することから,100kd及び96kdの蛋白は92kdのcore蛋白に糖鎖が付加し、形成されたものと考えられた。以上より我々は,ret蛋白が細胞膜表面糖蛋白として存在しているものと推定している。 さらにret蛋白がチロシンリン酸化蛋白であるかどうかを明かにする目的で、抗フォスフオチロシン抗体を用いて、ウェスタンブロットを行った。その結果、この抗体はメラノ-マ細胞株においてのみ,ret蛋白に相当する位置にチロシンリン酸化蛋白を検出することができた。よって少なくともメラノ-マ細胞においては,ret蛋白のチロシン残基がリン酸化されているものと考えられた。
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[Publications] Takashi Iwamoto et al: "Oncogenicity of ret transforming gene in MMTV/ret transgenic mice" Oncogene. 5. 535-542 (1990)
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[Publications] Takashi kikuchi et al: "Nuclear localization of antigens detected by a monoclonal antibody against a synthetic peptide of rfp finger protein" Hybridoma. 9. 189-200 (1990)
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[Publications] Toyoharu Yokoi et al: "Characterization of cell fusion in XC cells induceel by Suncus murinus mammary tumor virus" Archives of Virology. 115. 267-276 (1990)
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[Publications] Masahide Takahashi et al: "Identification of the ret protoーoncogene products in neuroblastoma and leukemia cells" Orcogene.