1990 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯熱マラリア原虫のCa^<2+>ーATPase遺伝子のクロ-ニングと全塩基配列の決定
Project/Area Number |
02670172
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高田 季久 大阪市立大学, 医学部, 教授 (10046815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 和裄 大阪工業大学, 助教授 (40047410)
木村 政継 大阪市立大学, 医学部, 助手 (60195378)
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Keywords | P.falciparum / Ca^<2+>ーATPase / P.yoelli / マリリア原虫 / 遺伝子 / PeR / 塩基配列 |
Research Abstract |
1.ヒト熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum,k1株)のCa^<2+>ーATPase遺伝子と推定されるDNA塩基配列のうち、翻訳開始点から2079塩基とその上流部146塩基、計2225塩基の配列を明らかにした。 2.決定した塩基配列の一部の配列(約800塩基)をプロ-ブとして、RNAのノ-ザンブロットハイブリダイゼ-ションを行い、このCa^<2+>ーATPase遺伝子が単一で発現していることを確認した。 3.決定した塩基配列の両端付近の2つのオリゴヌクレオチドで、PCR(酸素的DNA増幅)法によって、Ca^<2+>ーATPaseのcDNAをクロ-ニングし、制限酸素地図やイントロンが疑われる部分のシ-クエンシングにより1で決めた塩基配列にはイントロンはないことを確かめた。 4.塩基配列のコンピュ-タ解析により次の諸点を明らかにした。 (1)コ-ドされるアミノ酸配列、693残基はCa^<2+>ーATPase遺伝子の約3/5をカバ-すると思われる。 (2)同属のネズミマラリア原虫P.yoelliのCa^<2+>ーATPase遺伝子とのアミノ酸配列の相同性は69.2%で、疎水性の領域や親水性であっても機能的に重要な領域ではほぼ完全に一致することから、ここで明らかにした塩基配列はP.falciparumのCa^<2+>ーATPase遺伝子の一部であると思われる、なお、他生物種のCa^<2+>ーATPase遺伝子との相同性は40%程度であった。 (3)P.yoelliとの比較では、アミノ酸配列の親水性の領域で相同性が低く、最大70残基の挿入も見られた。また、P.yoelliとアミノ酸配列で完全に一致している長さ110残基の領域で、塩基配列の相同性は86.5%にとどまった。これらの事実やAT/GC比等により、マラリア原虫のCa^<2+>ーATPase遺伝子の同属間の相違を明らかにした。
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[Publications] K.Murakami,K.Tanabe,S.Takada: "Structure of a Plasmodium yoelli gene encoded protein homologous to the Ca^<2+>ーATPase of rabbit skeletal muscle sarcoplasmic reticulum" Journal of cell Science. 97. 487-495 (1990)
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[Publications] 木村 政継,山口 芳香,三木 敦,高田 季久,田辺 和裄: "P.falciparumのCa^<2+>ーATPase遺伝子断片のクロ-ン化と塩基配列の決定" Japanese Journal of Parasitology. 40. (1991)