1991 Fiscal Year Annual Research Report
チフス症における腸内フロ-ラによる食細胞反応性の質的変化の誘導とその意義
Project/Area Number |
02670187
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Research Institution | Department of Microbiology, Tokai University, School of Medicine |
Principal Investigator |
小澤 敦 東海大学, 医学部・微生物学教室, 教授 (50055638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 慶一 東海大学, 医学部・病理学教室, 教授 (00055865)
大西 信彦 東海大学, 医学部・微生物学教室, 講師 (30051717)
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Keywords | 無菌マウス / 普通マウス / Ex vivo / 肉芽腫性病変 / MCLA依存性化学発光 / O^-_2 / クッパ-細胞 / ネズミチフス菌 |
Research Abstract |
無菌マウス及び普通マウスのネズミチフス菌感染群の感染経過の経時的追跡において,吸着法で分離したクッパ-細胞のルミノ-ル依存性化学発光値とMCLA(ルシフェリンanalg)依存性化学発光値変動のパタ-ンが異なっているという結果が提出されたが,このことは腸内フロ-ラの存否によってクッパ-細胞の反応性が量的,貭的に異なっているということを示唆とている。一方においてEx vivoにおいて得られたMCLA依存性化学発光反応性は,in vitroにおけるそれと比較して,よりin vivoに近い反応性を反映しているように思われ,in vivoにおける感染に対する食細胞の反応性を時間生物学的光場から把握して行く上に有用な方法として評価されよう。 かくして,無菌マウス及び普通マウス感染群においてEx vivoでのO^-_2産生パタ-ンの追跡の結果得られた成績と,感染過程を通じて観察された肝における肉芽腫性点症病変の変化及び肝,脾から回収された菌数との間の相関関係を検討する時,肝の肉芽腫性病変の強弱と,病巣から回収された感染菌の菌数の多寡との間に平行関係がみとめられないという成績が得られた。これは感染病原菌(ネズミチフス菌)と肝に形成された肉芽腫性病変との間に直接的な因果関係が成立しないという細胞内寄生性菌の感染病の病態の存在が示唆されたものとして興味深い。 以上のように細胞内寄生性菌の感染症における病原性発現機構には,ネズミチフス菌感染により誘導される組織病変に対する免疫反応による組織傷害またはその機構の中で誘導される宿主側因子(O^-_2など)による病変形成といったメカニズムの関与が強調されるところである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Atmshi Ozawa,Nobuhiko Ohnishi,Yuji Aiba and Takako Yamamoto: "Ecological Mechanism of Protection of Intestinal Bacterial Flora Against Salmnella typhimurium Intection" Tokai J.Exp.Clin.Med.15. 111-121 (1990)
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[Publications] 小澤 敦: "感染発症の将来像を求めて" 疾病の発現ー肝研究への糸口ー(ライフサイエンス出版) 第8回関東肝臓集談会ー. 81-109 (1990)