1992 Fiscal Year Annual Research Report
飲料用タンク水中のProtomonas extroquensの耐塩素機構と病原性
Project/Area Number |
02670214
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Research Institution | Tsukuba University |
Principal Investigator |
小池 和子 筑波大学, 社会医学系, 講師 (60110508)
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Keywords | タンク水 / Protomonas extorquens / 残留塩素 / 塩素耐性 / 日和見病原性 |
Research Abstract |
1)塩素抵抗性株の分離 わが国の水道法において定められている生物学的水質基準は、水系感染症予防のために大腸菌群が陰性であること、塩素消毒の効果指標として、一般細菌が100個以下であると定められている。この基準を満たして残留塩素濃度も0.1mg/1以上を維持しているビル等のタンク水より耐塩素性のProtomonas extorquensが検出され、研究学園都市ならびに東京都においては70%以上の検出率であった。本菌は、塩素未処理の池水、河川水より検出されることは少ないが、分離株は塩素感受性であり、塩素処理により耐塩素性を獲得すると、感受性に復帰することはなかった。 2)本菌の日和見病原性に関する研究 タンク水由来分離株、1)で述べた池水由来の耐性獲得株および臨床分離株を、2分の1濃度の普通ブイヨンに接種し、25℃、5日間培養した後、菌液、上清、菌体画分に分け感染実験を行った。SPFddy系6週令マウスを用いて、それぞれの画分を腹腔内投与、静脈注射を行ったが、弊死することはなく、経時的観察によっても体重増加に異常を認めることは出来なかった。次に、日和見感染宿主のモデルとして、ヌードマウスを用いて同様の実験を行った。即ち、BALB/c-nu、6週令ヌードマウスについて、培養液0.5ml分、培養上清0.5ml分、菌体10^7cellを腹腔内投与し経過観察を行った。その結果、菌体投与群については投与2〜3日まで体重が著しく減少し、その後回復した。また、48時間後の腹腔後の腹腔内より生菌が純培養状に分離され、塩素耐性株ならびに臨床分離株でその傾向は大であった。このように易感染宿主に対する日和見病原性は否定出来ない結果と言えよう。さらに、菌体添加水の自由摂取実験は現在継続中である。 3)Protomonas extorquensのMethylobacterium spp.への再分類について タンク水由来分離株100株について数値分類を行った。
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