1991 Fiscal Year Annual Research Report
外房南部に蔓延中の山蛭バイオハザ-ドの環境医学ならびに衛生動物学的追究
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02670228
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉葉 繁雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90056549)
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Keywords | ヤマビル(山蛭) / ニホンヤマビル / ヤマビルバイオハザ-ド / 抗ヤマビル抗体 / ヤマビルの異常大繁殖 / 免疫学的間引き |
Research Abstract |
1. 山蛭生息密度の定点調査の継続により,活動期間が寒季側に延長し,12月1月にも採集され,それらが2月に産卵したのは寒冷に対する馴化と見られ,大繁殖終息の兆しはなく,生息域は拡大しつつある。 2. 大繁殖の要因として(1)シカを主とする野獣の人里出現(源棲地からの伝搬と供血),(2)山蛭の天敵は不在に等しいこと,(3)1984年頃の天候が山蛭の定着繁殖に適したこと;(1)の原因として(a)山林事情(薪炭の需要減でマテバシイ葉繁茂→日射遮断→地表食草不生育),(b)保護獣指定による頭数過密,(c)食性変化,(d)野犬の追撃からの逃亡,等が判明。 3. 水棲昆虫コオイムシの山蛭捕食能力を確認,天敵は4種となったが,双方の生息密度化,遭遇頻度から,駆除には実質上は役立たない。 4. ヒトの吸血被害時の最着症状は吸血痕からの出血時間の延長と凝固性喪失による1時間に及ぶ出血で,その後創囲皮内出血,〓痒,人により硬結が生ずるが,1%タンニン酸綿清拭,抗ヒスタミン軟膏塗布,カット絆貼付が有効な簡易必要処理となる。 5. 山蛭に吸血された人獣の血中には抗山蛭抗体ができ,吸血回数と共に増量,出血を緩和,吸血した山蛭に致死作用を発揮する。外国産別亜種による抗体も共通で,17年前の被害でも抗体価は維持されていた。 6. 山蛭生息のシカの第3・4趾間には有穴性炎性腫瘤が形成されてその穴腔内には山蛭が潜居するほか,四肢遠位部全体で数十匹の吸血とは無関係に付着し,シカは恰も山蛭の固有宿主のような関係にある。 7. 山蛭生息密度は抗体による免疫学的間引きで抑制されてもいる。 8. 鳥類は山蛭に好まれ,吸血による抗体はでき難いので,地上歩行種はヤマビルにとって安全な供血および伝搬宿主となりうる。 9. 山蛭の野外駆除には煙草葉熱湯浸漬液や硫酸ニコチン液,皮膚面からの除去には食塩末や各種の灰が有効で,全て殺蛭作用を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 吉葉 繁雄: "千葉県天津小湊町に大発生しているニホンヤマビルの天敵の探索" 千葉大学理学部海洋生態系研究センタ-年報. 11(号). 61-70 (1991)
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[Publications] 石井 美恵子: "千葉県天津小湊町におけるニホンヤマビル異常発生前後の気象デ-タの統計的解析" 千葉大学理学部海洋生態系研究センタ-年報. 11(号). 71-74 (1991)
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[Publications] 吉葉 繁雄: "ニホンヤマビルの反復吸血により哺乳類に発現する抗体産生と免疫様現象" 日本衛生学雑誌. 46. 167 (1991)
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[Publications] 吉葉 繁雄: "ニホンヤマビル吸血被害者体内の抗ヤマビル抗体産生とヤマビルの宿主動物の再検討" 日本衛生学雑誌. 47. (1992)
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[Publications] 吉葉 繁雄: "ニホンヤマビルの吸血による抗ヤマビル抗体産生と抗体によるヤマビル生息密度の免疫学的抑制" 千葉大学理学部海洋生態系研究センタ-年報. 12(号). (1992)
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[Publications] 石井 美恵子: "ニホンヤマビルの駆除対策ー薬剤の有効性の実験" 千葉大学理学部海洋生態系研究センタ-年報. 12(号). (1992)