1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670229
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小川 康恭 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60167319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 美恵子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10222952)
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Keywords | 2,5ーヘキサンジオン / 未梢神経 / ラット / 胎児 |
Research Abstract |
二硫化炭素、ノルマルヘキサン等の有機溶剤は未梢神経に対する傷害作用があり、作態学的には遠位軸索の膨隆とneurofilamentの蓄積が生じ、電気生理学的には神経伝導速度の低下が起こり、またneurofilamentが関与する軸索流の障害もしくはその速度の変化が認められている。neurofilamentは軸索の骨格でもあり、それが関与する軸索流は軸索の成長と関係している。そこで平成2年度はノルマルヘキシンの最終代謝産物の一つでありまた未梢神経に対して主たる毒性をもつ2,5ーHexianedioneを胎児が軸索成長期にある妊娠11日のラットに680mg/Kg s. c. 4日間投与した。妊娠20日目に胎児を取り出し生体観察を行った後グルタ-ルアルデヒドで臍静脈より潅流固体を行い坐骨神経及び脛骨・腓骨神経を採取しエポンに包埋した。次いで坐骨神経本幹中央部を電子顕微鏡により観察した。成獣で認められるneurofilamentの蓄積による巨大軸索は認められなかったが軸索同士が融合している特微的な像が認めれらた。胎児未梢神経ではまだ軸索がシュワン細胞によって包まれていないため互いに直接接触できるためこのような特微的な変化が出現したものと思われる。軸索径の定性的解析では全体的に径の拡大が認められた。軸索鞘の融合はステロイド合成障害が関与している可能性があると考えられた。但し、680mg/Kg s.c.の曝露濃度では母獣の体重減少が強く4日以上の投与は胎児の生存にとって危険であることが推察された。この体重減少は無視できないので更に低濃度、例えば340mg/Kg S.c.の曝露を試みる必要がある。今後の計画としては、曝露濃度を変えることにより用量反応関係をみること、更には形態学的変化の定量的な解析、融合像の立体的な描出、坐骨神経近位部及び脛骨・腓骨神経部の形態学的観察を行う予定でいる。これにより軸索の変化を動的に捉えることができるであろう。
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Research Products
(1 results)