1990 Fiscal Year Annual Research Report
鹿児島湾の水銀の濃縮についての研究ー桜島火山灰及び火山ガス、海水、プランクトン、魚介類から人体への生物濃縮ー
Project/Area Number |
02670243
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安藤 哲夫 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10107865)
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Keywords | 鹿児島湾 / 環境中水銀濃度 / 海水 / 河川底質土 / 土壌 / 魚類 |
Research Abstract |
本研究を逐行するために鹿児島湾を取り巻く環境中の水銀濃度を測定したが、鹿児島湾を取り巻く環境として、海水・土壌・河川底質土・魚類を選んだ。海水は鹿児島大学実習船南星丸を利用し、鹿児島湾の26地点の表層水(水面下1m)を採水した。土壌は電池等の焼却処理による水銀の環境への放出を考慮して鹿児島市広木麈芥処理場を中心として、0.5kmの同心円上に8方向、4地点の計33地点の地下10cmの土を採取した。河川の底質土として鹿児島市内の6河川の河口からの距離1km毎地点で、ほぼ源流に亙って採取した。魚類は湾岸の6地点で釣りにより採集した。総水銀の測定は魚類はマゴス法で、海水はジチゾンーベンゼンで抽出後、その他は乾燥後、直接硝酸ー過塩素酸ー硫酸を加え湿式分解後、塩化第一スズによる還元気化法で行なった。 海水中の総水銀濃度は6.3ー19.7pptでこれまでに鹿児島湾海水中の水銀濃度についての坂元(1986)の報告とほぼ同程度であった。また、海水の総水銀濃度はpH値に依存してはいなかった。土壌中の総水銀濃度は6ー128ppbであったが、麈芥処理場を中心とした方位や距離に依存した差はみられず、電池等からの水銀の放出はほとんど環境に影響していないと考えられる。河川底質土の総水銀濃度は工場のある流域で高く、人家の散在する流域で低い傾向がみられた。また源流付近の水田地帯で高い川もあり、かつての水銀系農薬の水銀が残流していることも考えられる。魚介類は6地点ともに採集できた3種の総水銀濃度を6地点別に示した。浅海砂泥に接して棲むネズッポ・シロギスでは新川と永田川で比較すると両地点の河川底質土の総水銀濃度の差を反映した結果が得られたが、岩礫上を離れて棲むクロホシイシモチはそうではなかった。地点別では牛根の平均値が最も高く、依然湾奥の魚類が高いことを示した。
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