1990 Fiscal Year Annual Research Report
アルコ-ル代謝酵素のDNA変異とアルコ-ル代謝能との関係ならびにその法医学的応用
Project/Area Number |
02670257
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
山田 光子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80145911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 好男 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (60111902)
福永 龍繁 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (70156800)
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Keywords | アルコ-ル代謝 / アルコ-ル脱水素酵素 / アルデヒド脱水素酵素 / DNA変異 |
Research Abstract |
アルコ-ル脱水素酵素ならびにアルデヒド脱水素酵素遺伝子の各変異部位(ADH_2、ALDH_2遺伝子内)付近をPCR法にて増幅するためのプライマ-ならびに各正常型(ADH^1_2)、変異型(ADH^2_2)に特異なプロ-プを合成した。無作為抽出した50名以上の被験者の末梢血からDNAを抽出・精製し、これらのサンプルにつき合成したプライマ-を用いてPCR法により変異部位付近を増幅したのち、各PCR産物をドット・ブロットし、ラジオアイソト-プで標識した各プロ-ブを用いて、ALDH_2遺伝子型を判定した。これにより推定される遺伝子頻度は、活性型遺伝子(ALDH^1_2)が0.64、不活性型遺伝子(ALDH^2_2)が0.36であった。 ついで、上記被験者に対しアルコ-ル経口投与による飲酒実験(体重1kgあたりエタノ-ル0.4g)を行ない経時的に血中エタノ-ルおよびアセトアルデヒド濃度を測定した。不活性型遺伝子を有する者では血中アセトアルデヒド濃度が高くまた飲酒後著明に顔面紅潮が現れた。この傾向はホモ接合型で特に著明であった。毛根から抽出したアルデヒド脱水素酵素の活性染色では、ヘテロ接合型も不活性型遺伝子のホモ接合型も活性を示さないが、実際にはヘテロ接合型でも僅かに活性を有し、不活性型遺伝子のホモ接合型ほどには血中アセトアルデヒド濃度が上昇しないて考えられる。エタノ-ル代謝速度、β_<60>値は、不活性型遺伝子を有する者では活性型遺伝子のホモ接合型に比べ低い傾向にあった。血中アセトアルデヒド濃度が上昇することがエタノ-ル代謝の第1段階を抑制し、エタノ-ルの代謝速度に影響を与えるものと考えられる。
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