1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670261
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
飴野 節子 香川医科大学, 医学部, 助手 (00032904)
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Keywords | ハチ刺傷 / ショック / ハチ毒特異IgE抗体 / ハチ毒特異IgG4抗体 / 酵素免疫測定法 |
Research Abstract |
日本では1979ー1988年の10年間に、年平均37人がミツバチ(HB)或はアシナガバチ(wasp)などによるハチ刺傷ショックで死亡している。この数は目撃者により死亡時の状況がはっきり確認されているものであり、そうでない場合は単に病死などとしてかたずけられている可能性もあり、実際にはもっと多いと考えられる。ところで、本邦ではこれらのハチ刺傷によるショック死例は解剖されておらず、また文献によれば解剖しても特異な所見は見られないと報告されている。そこでこの死因を科学的に証明し、戸外での不審な死亡例などの解明に役立てるための基礎研究を行なった。 アレルギ-の病因としてIgEおよびIgG4が重要な抗体である。そこでハチ刺傷後何らかのアレルギ-症状で病院を訪れた23人の患者血清中のハチ毒特異IgE(sIgE)およびIgG4(sIgG4)抗体を酵素免疫測定法で測定し、これらの抗体がハチ刺激診断のマ-カ-として有用かどうかを検討した。また、抗原としてHBのwhole body、HBから得られたphospholipase A2(PLA2)、スズメバチ(YH)およびアシナガバチ(PW)類の毒を用いたが、これらのハチ毒成分の比較をPAGゲル等電点電気泳動(pH3.5ー9.5)で行なった。その結果、アレルギ-症状の厳しさの程度と関係なく有意なレベルの1ないし数種のハチ毒に対するsIgE或はsIgG4が検出された。sIgEは12人(52%)に患者に、sIgG4は8人(35%)に検出された。しかも、高レベルのsIgEとsIgG4はいずれもショック状態の患者から検出された。これらのことからハチ毒特異sIgEとsIgG4はハチ刺傷診断の1つのマ-カ-として有用だと思われる。ハチ毒蛋白成分については、HBとPLA2はpI8よりわずかアルカリ側に当然共通のバンドが見られ、YHはpI4.7ー8の間に多数のバンドが検出され、PWは4.7付近に1本のバンドが検出され、バンドpatternに違いが見られた。
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