1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670264
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
角田 健司 昭和大学, 医学部, 助教授 (40095906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道解 公一 昭和大学, 医学部, 助手 (60188844)
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Keywords | βーendorphin / 心臓死 / 呼吸死 / 突然死 / 死戦期 / オピオイドペプチド / 間脳下垂体系 / ラット |
Research Abstract |
心停止先行型と呼吸停止先行型急死の死戦期における血漿βーendorphin(βーEd)の動態を検討した.その結果,雌雄において心停止先行型では,KC1投与後のβーEd値は生前値とそれほど大差がなかった.それに対し呼吸停止先行型で,SCC投与後2分と4分時に著高となり,8分時には低下,以後低ないし高傾向を示した.特に呼吸停止先行型においてSCC投与後2〜4分時の上昇値に雌雄差がみられ,雄は雌より1.7倍高く,雄に高い応答性の存在が示唆された. 呼吸停止先行型急死でみられた血漿βーEdの上昇は下垂体からの分泌と考えられるが,それを確認すべく下垂体からのβーEd分泌抑制作用を持つDexを雄に急死実験前の3日間皮下投与した.その結果,SCC静注後血漿βーEd値に顕著な上昇傾向は殆どみられなかった.従って,この死戦期の血漿中のβーEdは下垂体由来であり,その分泌抑制は死戦期のような緊急事態においても解除されないことが示唆された. 下垂体のβーEdに関して,両急死型における下垂体は薬物投与後12分時に摘出したもので,この時点でのβーEd値は雌雄共に呼吸停止先行型の方が心停止先行型よりも有意に低かった.この死後の時点において心停止先行型急死と比較し,呼吸停止先行型急死の下垂体にはβーEdが顕著に分泌した様相が残存しているように思われた。 死戦期におけるβーEdの分泌,すなわち下垂体の応答は,本実験でも明らかなように心停止先行型に比べ呼吸停止先行型のような死戦期の長いものほど応答が顕著に現われることから,心機能の持続時間に依存すると考えられた。しかしこれが単なる低酸素による随伴現象なのか,また合目的性を有するかどうかについては明かでなく,仮に合目的性のある現象ならば,「死」に伴う苦痛と内因性モルヒネ様物質の関係を究明する点で興味深い.
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Research Products
(1 results)