1990 Fiscal Year Annual Research Report
大気中浮遊粒子状物質の気道反応性亢進作用に関する研究
Project/Area Number |
02670266
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 修二 東京大学, 医学部, 助教授 (30010151)
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Keywords | 大気 / 浮遊粒子状物質 / 気道 / ラット / ヒスタミン |
Research Abstract |
1.予備的事項:試験管内でモルモットの腸管はng/mlレベルのヒスタミン(Hi)にも反応するが、ラットの同器官は反応しない。ラットの気管もアセチルコリン(Ach)に対する反応性はモルモットのそれと同程度であるが、通常μg/mlレベルのHiに反応しない。ラットの気管は、μg/mlレベルのV_2O_5の存在下でも不在下でも、Achに対しては同様に収縮するが、V_2O_5の存在下でHiによって収縮した。μg/mlレベルの浮遊粒子状物質(SPM)の存在下では、同器官はHiによって収縮しなかった。 2.エ-テル麻酔下のラットそれぞれに、0.25μg、2.5μgあるいは、25μgのSPMもしくはV_2O_5を週1回、12週にわたって吸入させ、13週目に気管を取り出し、試験管内でHiに対する反応性を調べた。エ-テル麻酔のみを施したラットの気管を対照とした。SPMを吸入させたラットで、用量依存的に、Hiに対する反応が見られたが、対照群および、V_2O_5を吸入させた群では、Hiによる収縮は見られなかった。 3.エ-テル麻酔下のラットそれぞれに、上記の吸入をさせると同時に、腹腔内に卵白アルブミン(OA)1μgを注射した。13週目に気管を取り出し、試験管内でのOAに対する反応、および、OAに反応したのちのHiに対する反応性を調べた。SPMもしくはV_2O_5の吸入を行わずOAによる感作のみを行ったラットの気管を対照とした。OAに対する反応はどの群のラットの気管でも見られ、その反応性に有意の差はなかった。しかし、OAに反応した後には、どの群でもHiに対する反応が見られたが、収縮はSPM群で有意に高く、V_2O_5群と対照群との間には有意の差はなかった。 4.PCA法や全身性アナフィラキシ-の反応の程度から、13週目までに産生されたlgE抗体値はどの群でも同水準であると推測された。 5.μgオ-ダ-のSPMは、ラット気道をHiに反応するようにさせ、アナフィラキシ-性収縮後のHiに対する反応を亢進させた。
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