1991 Fiscal Year Annual Research Report
コレステリルエステル転送蛋白欠損症と動脈硬化に関する研究
Project/Area Number |
02670278
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小泉 順二 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (20161846)
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Keywords | コレステリルエステル転送蛋単 / コレステリルエステル転送蛋白欠損症 / 高HDLーC血症 / コレステリルエステル転送蛋白遺伝子 / polymerase chain reaction / 中間比重リポ蛋白 |
Research Abstract |
コレステリルエステル転送蛋白(CETP)はHDLとアポB含有リポ蛋白との間でCEを転送する。今回、我々はイントロン14のスプライシング異常によるCETP欠損症の遺伝子診断法を確立し、ヘテロおよびホモ接合体を診断し、リポ蛋白異常を明らかにした。1,本症はわが国でのみ発見されている代謝異常であり,このCETP遺伝子変異によるCETP欠損症が同じ起源を持つ遺伝子変異かを検討するために、ハプロタイプを検討した。家系の異なる5例のホモ接合体のハプロタイプは同じであり、同一の起源による変異と考えられた。2,ヘテロ接合体のスクリ-ニングのために,我々はPCR法により新しい制限酵素切断部位を作成する方法を開発した。この方法は条件設定が比較的容易であり、アイソト-プを使用せず短時間で結果が判定できるスクリ-ニングに適した方法であった。HDLーCが120mg/dl以上での異常遺伝子発現頻度は52%であり、100mg/dl以上では28%であった。HDLーCが120mg/dl以上の21例中14例にこの遺伝子異常が認められたが、残り5例は別の原因による高HDLーC血症であった。わが国における高HDLーC血症の成因でCETP遺伝子異常は重要と思われ、今後、実際にCETP欠損症で動脈硬化症の頻度を検討しなければならない。3,ヘテロ接合体のリポ蛋白脂肪の検討では、ヘテロ接合体はHDLは量的には僅かのCEの増加を示すのみであったが、脂質組成では明らかなCETP量の低下の影響が認められた。さらに、CETP量とIDLのECおよびEC/TG比との間に正の相関が認められ、LDLと同様に動脈硬化を促進するIDLーCの増加とCETPとの関係が示唆された。従って、CETP欠損症ではCETPの量の程度により動脈硬化を促進するリポ蛋白が減少し、また、動脈硬化を予防するリポ蛋白が増加していると思われた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] J.Koizumi: "Serum lipoprotein lipid concentration and compositin in Romozygous and heterozygous patients with cholestryl ester transfer protein deficiency." Atherosclerosis. 90. 189-196 (1991)
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[Publications] 小泉 順二: "HDL代謝と冠動脈硬化" 循環器科. 29. 353-360 (1991)
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[Publications] 小泉 順二: "糖尿病治療の最前線11.大血管障害" 医薬ジャ-ナル社, 538 (1991)