1990 Fiscal Year Annual Research Report
初代培養肝細胞における微小胆管の再形成を支配する遺伝子群の発現調節機構
Project/Area Number |
02670304
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
猪川 嗣朗 鳥取大学, 医学部, 教授 (70032183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 伸一 鳥取大学, 医学部, 助手 (00191544)
武良 哲雄 鳥取大学, 医学部, 講師 (80093631)
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Keywords | 初代培養肝細胞 / 微小胆管再形成 / 肝細胞膜極性 / エクトエンザイム / 胆汁酸輸送蛋白質 / 分子生物学 |
Research Abstract |
肝臓から肝実質細胞をコラゲナ-ゼ処理によって分離すると、微小胆管および肝細胞膜の極性は破壊される。しかし、この分離肝細胞を初代培養することにより細胞接着機能の回復に伴って、次の様な現象が認められた.(1)投与したフルオレスセイン・ジアセテ-ト(FA)は微小胆管様細胞内に蓄積され、その取り込みはウアバインで阻害されるが、コルヒチンでは影響を受けなかった。(2)タウロリトコ-ル酸の投与はFAの取り込みを減少させた.(3)20mMニコチン酸アミドおよび1μMデキサメタゾンにより微小胆管の増生と維持が認められるものの、0.1μMインスリン投与の24時間後ではその形態は消失した。(4)肝細胞膜局在性のアルカリホスファタ-ゼおよび5'ーヌクレオチダ-ゼ活性は培養後12〜24時間で3〜10倍誘導され、しかも培養細胞密度が高密度ほど顕著であった。しかし、これらの動態は水溶性蛍光剤(FA)を指標にしたものであるので、難溶性あるいは高分子の蛍光標識物を用いて現在検討中である。 また、分離肝細胞からの微小胆管形成は、デキサメタゾン処理12時間後の初代培養肝細胞から得たRNAのin vitro蛋白合成活性に一致し、アルカリホスファタ-ゼ活性も全蛋白質合成活性と並行して、10μgRNA量の発現時に最大になるので、現在mRNAおよびcDNAを検討中である。しかし、5'ーヌクレオチダ-ゼにはこの様な傾向は認められなかった。さらに、肝細胞膜に局在する胆汁酸輸送蛋白質の発現は肝細胞の組織化および膜極性の良い指標になることが報告されている.そこで、肝細胞膜から標識ウルソデオキシコ-ル酸結合蛋白質を精製すると、分子量が約90KDの蛋白質が得られた。この蛋白質は20mMニコチン酸アミド共存下で培養した時に増加する微小胆管由来の蛋白質と一致するところから、この蛋白質を精製すると共に、標識化して培養肝細胞における再構成実験を行いたいと考えている。
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Research Products
(2 results)