1990 Fiscal Year Annual Research Report
老齢ラットの初代培養肝細胞における肝機能発現とその調節機構
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02670305
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
武良 哲雄 鳥取大学, 医学部, 講師 (80093631)
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Keywords | 老齢ラット初代培養肝細胞 / 細胞密度依存性肝機能 / 肝細胞膜蛋白質 / 胆汁酸抱合能 / コレステロ-ル代謝 / コレステロ-ル胆石症 |
Research Abstract |
老齢および成熟ラット初代培養肝細胞の糖代謝に与えるグルカゴン作用には差が認められなかったが、脂肪酸合成には前者で有意な差が認められた。また、放射性デスモステロ-ルからのコレステロ-ルと胆汁酸への変換は、低細胞密度培養時の成熟肝に比較して老齢肝ではエステル型コレステロ-ルの増加と肝汁酸への低下が認められた。また、グリシン抱合型胆汁酸(G)とタウリン抱合型胆汁酸の比(T/G)は、高細胞密度培養時には約8であるのに対して、低細胞密度培養時には約3と低下した。しかし、このような低細胞密度肝細胞に、肝細胞から調製した膜蛋白を共存させて培養すると、成熟肝では高密度培養時のT/G比にまで上昇するが、老齢肝ではその上昇は低かった。これらの結果から老齢肝細胞機能、特に低細胞密度培養時の肝機能は肝細胞膜を介して脂質代謝に影響を与えていることが考えられる。また、老齢肝細胞から精製して膜蛋白質は、分子量は約85万であり、成熟肝細胞から分離した膜蛋白質の分子量約67万よりやや大きいものの、等電点(pI)は約4.6で両者とも一致した。しかし、この膜蛋白をSDS処理後の画分は、両者とも低細胞密度で培養後の肝細胞においてTAT誘導能の上昇を示すことから活性部位と考えられる。現在、この活性部位の一次構造を検討中である。 一方、この膜蛋白による肝細胞組織化にはCaイオンが必要であることから、肝細胞の増殖および分化能発現とCaイオンとの関係を明らかにすると共に、老化によるこの様な肝細胞表面膜の変化がホルモン等による情報伝達機構の低下あるいは細胞相互間の組織化形成能の低下に起因するかを明らかにしたいと考えている。さらに、老化と共にコレステロ-ル胆石の増加が知られているので、上述の脂質代謝の結果あるいは膜を介する情報伝達の低下がその要因に考えられるので、老齢肝細胞膜におけるリン脂質代謝を検討し、その要因を明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 武良 哲雄: "Modulation of bile acid conjugation of old rat hepatocytes in primary culture by cellーcell contact and cell membranes"
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[Publications] 武良 哲雄: "Membrane characteristic of old rat liver parenchymal in primary monolayer culture"
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[Publications] 武良 哲雄: "老齢および成熟ラットの初代培養肝細胞による肝機能の生化学的研究"