1991 Fiscal Year Annual Research Report
老齢ラットの初代培養肝細胞における肝機能発見とその調節機構
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02670305
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
武良 哲雄 鳥取大学, 医学部, 講師 (80093631)
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Keywords | 老齢ラット肝機能 / 初代培養肝細胞 / 細胞密度依存性 / 細胞表層膜蛋白質 / 肝細胞増殖能 / 多層集合体形成能 / タンパク質リン酸化 / 5^1ーヌクレオチダ-ゼ |
Research Abstract |
これまで私達は老齢(24ヶ月齢)および成熟ラット(2ヶ月齢)の肝臓から細胞表層膜蛋白質を調製するとともに、両肝細胞の初代培養肝細胞系における細胞密度依存性による肝機能について比較、検討してきた。その結果、高細胞密度で培養した両者にはあまり大きな差は認められなかったが、低細胞密度培養時には(1)グルカゴンによる脂肪酸合成能(2)グリシンおよびタウリン抱合胆汁酸の比(3)標識デスモステロ-ルからコレステロ-ルおよび胆汁酸への変換量(4)インスリンとEGF存在下でのノルエピネフリンによるDNA合成能(5)肝細胞表面膜蛋白質の分子量およびレクチンに対する結合能等に有意な差があることを報告してきた。また、インスリンとEGF存在時の両培養肝細胞系にカルシウムイオノフォアA23187(1μM)を添加すると、細胞内のカルシウム濃度の上昇とともにDNA合成は上昇するが、老齢肝細胞内のカルシウム濃度の上昇は低かった。さらに、アシアロ糖鎖を有する高分子化合物(PVLA)の溶液(100μg/ml)でコ-ティングし、陽性荷電の強い培養皿上に両細胞を加え、インスリン(10^<ー9>M)およびEGF(50ng/ml)添加の無血清培養液で培養すると、両細胞とも最初は単層培養時形状を示すが、次第に凝集し、3〜4日後には多層集合体(スフェロイド)を形成した。しかし、老齢肝細胞では成熟肝に比較して、多層集合体の形成が1〜 2日遅れ、またその形成に必要なインスリン(10^<ー7>M)とEGF(150ng/ml)は高濃度が必要であるとともに、肝酵素の5^1ーヌクレオチダ-ゼおよびNa^+,K^+ーATPase活性も低かった。この多層集合体の形成機構は不明であるが、おそらく培養皿表面への親和性よりも細胞相互の親和性が強いことに起因していると考えられる。従って、老化によるこの様な肝機能の変化あるいは多層集合体形成の差は、肝細胞膜を介するホルモンレセプタ-の応答性や細胞骨格機能に関与するタンパク質のリン酸化能の差が考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 武良 哲雄: "Reciprocal modulation of liver functions of primary cultured old rat hepatocytes by contact with cells or cell membranes"
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[Publications] 武良 哲雄: "DensityーDependent Hepatocyte Functions of Old Rat in Primary Culture"
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[Publications] 武良 哲雄: "Use of hepatocytes in spheroid formation for biochemical studies on old rat liver functions"