1991 Fiscal Year Annual Research Report
原発性胆汁性肝硬変症の動物実験モデルの作成および発症機序の解明
Project/Area Number |
02670306
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 和秀 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (90140491)
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / 胸腺摘出マウス / 抗ミトコンドリア抗体 / 慢性非化膿性破壊性胆管炎 |
Research Abstract |
1.PBC動物実験モデルの胆管病変の電子顕微鏡的観察 ブタの肝内胆管細胞を免疫した群において22匹中14匹(64%)に胆管周囲に細胞浸潤を伴う胆管病変を認めた。電子顕微鏡による観察では浸潤細胞は主にリンパ球、形質細胞、マクロファ-ジから成り、一部のリンパ球は胆管上皮細胞間に進入していた。また胆管上皮細胞の空胞化変性を一部に認めた。形質細胞の粗面小胞体は良く発達し,著明な蛋白合成を示唆していた。マクロファ-ジは電子密度の高い物質をライソゾ-ム内に含有し、貪食が盛んであることを示唆していた。この様な所見はヒトにおける慢性非化膿性破壊性胆管炎に類似する所見であった。 2.胆管病変の免疫組織学的検討 胆管周囲浸潤リンパ球の免疫組織学的同定を行った。CD4陽性Tリンパ球、CD8陽性Tリンパ球、B細胞の浸潤を認め、CD4リンパ球がCD8リンパ球より多い傾向があった。胆管上皮細胞にはHLA class 1,class 2抗原の表出を認めた。これらの抗原はヒトの胆管上皮細胞でも表出が認められていることとあわせ興味深い。 3.血清中各種抗体の検討 細菌・ウイルス感染を否定する目的で各種抗体価を測定したが、肝障害を来す細菌・ウイルスの抗体は陰性であった。 PBCではミトコンドリアに対する抗体が特徴的であり、このモデルでも抗ミトコンドリア抗体を検索したところ、高率に陽性であった。インムノブロット法による検討ではピルビン酸脱水素酵素の72kD蛋白に一致する抗体を認め、ヒトのPBCに出現するM2抗体と同じものと考えられた。
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[Publications] 小橋 春彦,他: "新生期胸腺摘出マウスを用いた原発性胆汁性肝硬変(PBC)動物実験モデル作成の試み" 肝臓. 32. 965 (1991)
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[Publications] 小橋 春彦,他: "新生期胸腺摘出マウスを用いた原発性胆汁性肝硬変(PBC)の動物実験モデル作成の試み" 消化器と免疫. 26. 203-206 (1992)