1990 Fiscal Year Annual Research Report
ラット慢性膵外分泌不全モデルにおける病態生理学的研究
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02670313
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
加嶋 敬 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (30079818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 慶正 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (70185792)
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Keywords | inーoleic acidーlinoleic acid 溶液 / ラット / 慢性膵外分泌不全モデル / 膵管内注入法 / 組織学的検討 / 生化学的検討 |
Research Abstract |
Zeinーoleic acidーlinoleic acid溶液(以下Z液)を作成し、ラット膵管内単回注入法により慢性膵外分泌不全モデルを作成した。6ケ月間経時的に体重、膵重量、膵内酵素含量、血清アミラ-ゼを測定し、BTーPABA試験と膵組織像についても検討した。高度膵萎縮を認めたが、体重は経時的に有意に増加した。Z液の膵管内注入後早期の組織像では、末梢膵管分枝内に充満したZ液とその周辺部から始まる実質の壊死、脱落像が見られた。膵腺房細胞の形態学的変化はまずacinar lumenの拡大から始まり、扁平化した腺房胞細胞が、duct like tubular complex appearanceを経て壊死に至る過程が観察された。同時に末梢膵管分枝の不整拡張と一部の膵管上皮細胞の過形成も認められた。経時的に実質の破壊が進展し、高度慢性膵炎像を示した。Z液による膵障害のメカニズムとして、その成分中のzeinが蛋白栓様の作用をすると同時にそれに混じた不飽和脂肪酸のacidityとdetergent作用がそれに接した膵管上皮のprotective barrierの破壊を生じることが強く示唆された。膵組織像の変化に一致して膵重量は、control群に比してZ液注入6ケ月後88%の著明な膵萎縮を認めた。また、100gB.W.あたりの膵内蛋白量、amylase含量、DNAおよびRNA含量は、Z液注入6ケ月後それぞれ、control群に比して89%ー96%ー91%ー95%と著明な減少を認めた。血清amylase値に差は認められなかった。BTーPABAテストにおいてもcontrol群84±4.7%に比して6週後45±16.9%3ケ月後35±9.5%6ケ月後19±12.7%と著明な膵外分泌不全状態を認めた。以上の結果より本法により作成された慢性膵外分泌不全モデルは、組織学的ならびにDNA,RNAを初めとする生化学的検討、膵外分泌機能検査の検討から見ても膵の再生の乏しいモデルであることが判明した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 佐々木 敏之,片岡 慶正,頼住 一,井本 雅美,橘 逸勢,加藤 正人,足立 勝也,山根 行雄,加嶋 敬: "Zeinーoleic acidーlinoleic acid溶液のラット膵管内注入法による慢性膵炎モデルの作成と経時的変化の検討(第二報)" 日本膵臓学会誌. 6. (1991)