1991 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞細胞骨格構成蛋白の代謝とマロリ-体形成に関する研究
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02670314
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岡上 武 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (20150568)
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Keywords | マロリ-体 / 中間径フィラメント / サイトケラチン / ユビキチン / 免疫電顕 |
Research Abstract |
Denk3の方法に促い,C3Hマウスにグリヤオフルビンを投与し,マロリ-体(MB)を作製し,摘出した肝をdetergent処理した。間接蛍光抗体法,免疫電顕法でMBと中間径フィラメント(1F)の関係について,1Fの表現型の変化と蛋白分解系の一つであるユビキチン(Ub)の関与の面から検討した。一次抗体には二種のマウスサイトケラチン(CK)(CK55,CK44)に対する抗体,ヒトCKに対する抗体(AE3,EAB903)とポリクロ-ナルUb抗体を用いた。 グリヤオフルビン投与群(GF群)ではMBはCK55で染色されたが,肝細胞の染色は,モザイク状に染色されるものと,全く染色されないものが存在した。AE3,EAB903はMBのみ染色された。また,CK44でMB,細胞質ともに染色される肝細胞が存在した。CK55とUbの二重染色ではMBは両者で染色され,CK55の反応する細胞質ではUbの反応があり,CK55の反応がなければUbの反応もなかった。免疫電顕では,GF群ではMBの存在する肝細胞でも1Fは観察できたが,CK55が全く存在しない1Fもあった。そして,MBにはCK55,Ubともに存在した。UbはCK55陽性の1Fには強い反応を示したが,CK55陰性の1Fには存在しなかった。 <まとめ>MB形成過程において現われるCK染色陰性のいわゆるempty cellは1Fが存在しないためではなく、1Fの表現型の変化に起因することが判明した。この変化はMB形成の原因となりえ,正常の表現型を示す1Fの分解にはUbの関与が示唆された。Ubの介する蛋白合解系の異常もMB形成の原因の一つと思われた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 長尾 泰孝,岡上 武,他: "初代培養肝細胞の温熱耐性と熱ショック蛋白72の局在に関する研究" 肝臓. 32. 505-511 (1991)
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[Publications] 森本 道雄,岡上 武,他: "初代培養肝細胞の用いた細胞骨格の観察法と極性形成" 組識培養. 17. 341-345 (1991)
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[Publications] 岡上 武,太田 義治,他: "ヒト肝細胞癌およびラット肝発癌過程における肝細胞中間径フィラメントの性状の変化" 肝細胞骨格研究会誌. 1. 73-89 (1991)