1992 Fiscal Year Annual Research Report
原発性胆汁性肝硬変の成立・進展機構に関する研究 ー胆管系サイトスケルトンに対する自己免疫反応の解析を中心にー
Project/Area Number |
02670318
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
織田 正也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20129381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 完治 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40193247)
船津 和夫 慶應義塾大学, 医学部, 兼任講師 (00129644)
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Keywords | 抗CK1抗体 / 抗M2抗体 / 症候性PBC / 無症候性PBC / 長期UDCA療法 / Leu 2a / HLA-DR / ICAM-1 |
Research Abstract |
本年度は原発性胆汁性肝硬変(PBC)における胆管破壊機構解明の基盤となるcytokeratin(CK)の亜分画CK1(52kD)に対する抗CK1単クローン抗体および抗糸粒体抗体のM2亜分画に相当するpyruvate dehydrogenaseに対する抗M2抗体を用いてursodeoxycholic acid(UDCA)600mg/日の投与前後における症候性(s-),無症候性(a-)PBC患者の両抗体価の経時的変化を投与後2年までELISAで測定し比較検討した。抗CK1抗体価はs-,a-PBCの両者においてUDCA投与前値に比して,投与後2年まで経時的に有意な抗体価の低下を示した。抗M2抗体価はs-,a-PBCの両者においてUDCA投与前値に比して,その推移の一部に有意差は認めなかったが,全経過において抗体価の低下を示した。両者の抗体価の低下は長期UDCA療法の免疫系への関与を示唆しており,特に,胆管破壊の結果産生された高力価の抗CK1抗体価は病態を反映し,長期UDCA療法によるs-,a-PBCの同抗体価の低下はこの病態是正を表わすと考えられた。次に,Leu2a,主要組織適合抗原class IIのHLA-DR,細胞間接着分子であるICAM-1の単クローン抗体を用いた免疫組織化学的手法により,PBCにおける自己免疫異常と胆管破壊機構の関係を検討した。PBC患者生検肝組織では特に,CNSDCの所見を示す胆管上皮形質膜上にICAM-1が強く表出され,同時に胆管上皮細胞内にHLA-DRの存在が証明され,さらに,ICAM-1が表出される変性胆管上皮に接するリンパ球は主にLeu 2a陽性を示し,一部にLeu 3a陽性であった。PBCにおける胆管破壊機構の最初の引き金としてHLA-DRが胆管上皮細胞内に異所性表出され,Leu 3a陽性のhelper Tcellが胆管上皮形質膜上に表出したICAM-1との接着を介して胆管上皮細胞内のHLA-DRを認職し活性化された後,cytokine networksを介して終局的にLeu 2a陽性のcytotoxic Tcellが活性化され,胆管上皮細胞形質膜上のICAM-1との細胞間接着により細胞傷害性を発揮し,胆管破壊が誘発されると考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 金子 博: "原発性胆汁性肝硬変(PBC)の免疫異常に及ぼすウルソデオキシコール酸(UDCA)療法の影響" 日本消化器病学会雑誌. 89. 248- (1992)
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[Publications] Masaya Oda: "DIFFERENCES IN ANTI-CYTOKERATIN SUBCLASS ANTIBODY FORMATION RELATED TO BILE DUCT DESTRUCTION BETWEEN SYMPTOMATIC AND ASYMPTOMATIC PRIMARY BILIARY CIRRHOSIS" GASTROENTEROLOGY. 102(4). A863- (1992)
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[Publications] 金子 博: "症候性および無症候性原発性胆汁性肝硬変における抗cytokeratin subclss抗体価の相違" 肝臓. 33(1). 99- (1992)
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[Publications] 金子 博: "原発性胆汁性肝硬変のUDCA長期療法における抗cytokeratin subclass CK1,抗M2抗体価の意義" 肝臓. 33(3). 54- (1992)
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[Publications] 織田 正也: "最新内科学大系 第51巻ー肝と薬物・アルコール,胆汁うっ滞ー「原発性胆汁性肝硬変」" 中山書店, 46 (1992)