1990 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝疾患における肝組織酸素需給動態と肝内血行動態に関する臨床的研究
Project/Area Number |
02670320
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松崎 松平 東海大学, 医学部, 教授 (40110902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 光一 東海大学, 医学部, 助手 (80216176)
門阪 利雄 東海大学, 医学部, 助手 (20204513)
板倉 勝 東海大学, 医学部, 講師 (90119644)
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Keywords | 肝循環 / 肝硬変 / 慢性肝炎 / アルコ-ル性肝障害 |
Research Abstract |
(目的)慢性肝炎,肝硬変,アルコ-ル性肝障害における肝組織微小血流動態と肝代謝能との関連を臨床面において検討した。 (方法)慢性活動性肝炎29例,肝硬変15例,アルコ-ル性肝障害例17例において,腹腔鏡下に、臓器反射スペクトル測定装置を用いて、組織ヘモグロビンおよび酸素動態を測定し、肝蛋白代謝態と対比検討を行なった。 (成績)肝組織の酸素消費能指数は、対照群の0.74±0.14に比較し、慢性肝炎、肝硬変は、各0.48±0.21,0.35±0.10と有意に高度な低下を示した。特に、0.46以下の高度低下例では、肝組織中ヘモグロビン量の低下も顕著であった。すなわち、慢性肝障害では、肝酸素代謝能の低下が生じており、その程度は、組織内貧血状態の併発により一層悪化することが判明した。これらの悪条件は、血清中肝合成蛋白(アルブミン,コリンエステラ-ゼ)の低下を伴なっており、肝代謝能へ悪影響を及ぼしていることも判明した。また、アルコ-ル性肝障害例においては、肝硬変例において、非アルコ-ル性硬変例と同様の酸素代謝能低下が認められたが、さらに、脂肪肝、肝線維症例においても、酸素消費能、組織中ヘモグロビンの低下と、それに伴う蛋白合成能低下がみられ、肝血流障害が病態に重要な関与を有することが強く示唆された。 (結論)慢性肝障害、アルコ-ル性肝障害における肝血流と酸素代謝の異常と肝代謝機能の関連の重要性が明らかとなった。臨床上、その改善をはかる治療の解明の必要性があり、今後の研究課題であると考える。
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Research Products
(1 results)