単離胃粘液細胞培養系を用いた胃粘膜防御機構に関する基礎的検討

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02670328
• Research Institution: Osaka Medical College
• Principal Investigator: 島本 史夫 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00211285)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 高尾 雄二郎 大阪医科大学, 医学部, 専攻医
• Keywords: 胃粘液 / 単離細胞 / 胃粘膜防御機構 / 粘液細胞

Research Abstract

モルモット胃単離粘液細胞培養系を確立し、細胞レベルでの粘液新合成を生化学的に検討することが可能であった。モルモット胃底腺粘膜を鈍的に剥離し、直ちにSollの方法に準じて酵素処理し、粘膜細胞浮遊液を作成した。対向流遠心分離法により粘液細胞に富む分画を得た。採取した分画の細胞は約80%がPAS染色で強陽性に染色され、同細胞は電顕では胞体内に粘液顆粒を豊富に含む細胞であり、粘液細胞と同定された。単離細胞のviabilityは24時間培養後も90%以上であった。次いで、単離細胞培養液中に ^3Hーglucosamineを添加し、培養粘液細胞が新たに合成した粘液糖蛋白質を測定するマ-カ-として用いた。同時にgastrin,histamineを加えて、24時間短期培養した。細胞を含む培養液を超音波破砕、超精遠心とした後上清をSepharose 4B chromatographyにかけ、高分子糖蛋白質を含むmucinーrichな分画を得た。この分画のCPM値を単離細胞培養系における新合成された粘液量とした。単離粘液細胞における粘液の新合成は、経時的(培養12時間、24時間、48時間後)に増加していた。各種薬物刺激による粘液新合成の検討では、gastrin histamine添加により、24時間後の粘液新合成は増加していた。すなわち、10^<ー11>〜10^<ー5>Mのgastrin濃度では、対照群に対する割合がいずれも増加しており、培養細胞における新たな粘液の合成が増加していると考えられた。同様に10^<ー6>〜10^<ー3>M濃度のhistamine刺激でも粘液の新合成の増加が認められた。さらに、本実験系を用いて、種々の薬剤(H_2ーblocker,Prostaglandin,etc)に対する培養粘液細胞の粘液新合成の反応を検討中である。

Research Products

• [Publications] 島本 史夫,他: "ヒト胃単離粘液細胞を用いた粘液産生の検討" THERAPEUTIC RESEARCH. 12. (1991)
• [Publications] Chikao Shimamoto,et al: "Regulation of human and rat gastric mucin synthesis:assessment by histochemical and biochemical methods." Gastroenterology. 99. (1991)