1990 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性低酸素換気抑制における内因性アデノシンの役割
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02670333
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西村 正治 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (00208224)
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Keywords | (theophylline)テオフィリン / (adenosine)アデノシン / 脳血流 / 低酸素 / 換気抑制 |
Research Abstract |
研究I:アデノシン受容体拮抗作用を有するテオフィリンを健常者6名に静脈内投与(5mg/Kg)して、呼吸刺激作用、脳組織酸素分圧に及ぼす効果を検討した。動脈と内頸静脈にカテ-テルを留置した後、呼気終末PCO_2を変えずに低酸素を段階的に負荷し、テオフィリン投与前後で血液ガスデ-タを比較した。投与前はPaO_2を1040torrから458torrまで低下させると、内頸静脈血PO_2(PjO_2)は36.4torrから30.1torrまで低下した。その間、PaCC_2は42.0→41.9torrと全く変化しなかったにも拘らず、PjCO_2は52.3→49.5torrへと2.8torr有意に低下した。これは低酸素負荷に伴なう脳血流増加によって生じたものと考えられる。次にテオフィリンを前投与すると、室内空気呼吸時にはPaCC_2は42.0→39.9torrへと有意に低下したが、これは同薬剤による呼吸刺激作用を反映ている。そこで、このPaCO_2値を保ったまま同様に低酸素負荷を行ったところ、PaO_2は106.4→445torrへと同程度に変化しているときにPjO_2Fは31.3→26.9torrへといずれの場合も著明に低下していた。この結果は、テオフィリンの常用量静注が脳組織に対しては、アデノシン受容体拮抗作用に基づく脳血流量減少を介してPO_2の著明な低下を引き起こし、室内空気呼吸時に投与したばあいでさえも、PaO_2を45torr程度に下げるのと同等の効果を脳組織に対して有しいることを意味する。 研究II:健常者6名に対して、上記と同様に動脈と内頸静脈にカテ-テルを留置した後、isocapnic hipoxia (PaO_2〓40ー45torr)を負荷し、さらにその状態を20分間維持した。その間、換気量、呼吸パタ-ン,心拍数,血圧などを連続モニタ-し、前後で動脈及び内頸静脈血の同時採血を施行した。血清は除たんぱく処理した後、凍結保存した。現在、逆相高速液体クロマトグラフィ-を用いて血清中のアデノシン,イノシン,ヒポキサンチン他の測定を準備中である。
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[Publications] M.Nishimura,et al: "Longitudinal analyses of respiratory chemosensitivity in normal subjects" Am.Rev.Respir.Dis.(1991)
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[Publications] M.Nishimura,et al: "Adverse effecf of theophylline on brain tissue oxygenation in bypoxemic patients with chromc obstructive pulmonary disease" Thorax.