1990 Fiscal Year Annual Research Report
気道上皮細胞単一イオンチャンネル電流に対する神経ペプチドの影響と情報伝達系の関与
Project/Area Number |
02670349
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
玉置 淳 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60147395)
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Keywords | イオントランスポ-ト / 上皮細胞 / 気管 / 気道分泌 / パッチクランプ / イオンチャンネル / 神経ペプチド / サブスタンスP |
Research Abstract |
犬気道上皮細胞は,コラ-ゲン付着プレ-ト上で7日間培養することにより、超微形態学上、tight junctionおよびlateral intercellular digitationなどの構築が保持されており、その電気的特性においても摘出直後の粘膜組織に近似する値が得られた。よって、培養気管上皮細胞をmicropore polycarbonate filterとともにUssing's chamberにマウントし、電位固定法を用いて短絡電流を測定し、さらに細胞間電位差とコンダクタンスについても評価を行った。 サブスタンスPの漿膜側投与では反応は得られなかったが、粘膜側に投与した際には短絡電流は用量依存性に増加し、それに伴い細胞間電位差およびコンダクタンスの上昇が認められた。以上の反応は、Clトランスポ-ト阻害剤あるいはメディウム中のClをグルコネ-トに置換することにより消失した。したがって、サブスタンスPは気道上皮細胞におけるapical membraneからのCl分泌を促進させるものと考えられた。さらに、サブスタンスPによる短絡電流の増加は、エンケファリナ-ゼ阻害剤であるフォスフォラミドンの前投与により著明に増強したことから、タキカイニンの作用に対し、内因性エンケファリナ-ゼによる制御機構が存在するものと推察された。 上記の細胞を用い,パッチクランプ法による単一イオンチャンネル電流の測定を試みた。CellーattachあるいはInsideーout法により、細胞膜の粘膜側に約45pSの陽イオンチャンネルと、よりコンダクタンスの低いカリウムチャンネルの存在を同定し得た。前者は、非選択的陽イオンチャンネルであり、本チャンネルの活性化は細胞の過分極をきたし、Cl分泌およびNa吸収の機能に影響を及ぼすものと考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tamaoki J,Sakai N,Isono K,Takizawa T.: "Inhibition by loperamide of chloride transport across canine cultured tracheal epithelium" European Journal of Pharmacology. 190. 255-258 (1990)
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[Publications] Tamaoki J,Kanemura T,Horii S,Chiyotani A,Sakai N,Kobayashi K,Takizawa T.: "Relaxation of canine airway smooth muscle by the heparin preservative benzyl alcohel" Americal Journal of Physiology. 258. L355-L360 (1990)
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[Publications] 玉置 淳,坂井 典孝,磯野 一雄,小林 健司,兼村 俊範,竹内 聡美,千代谷 厚,滝沢 敬夫: "気道上皮細胞イオントランスポ-トに対するエリスロマイシンの抑制効果" 呼吸. 9. 1036-1038 (1990)
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[Publications] Tamaoki J,Sakai N,Isono K,Kanemura T,Takeyama K,Takizawa T.: "Lipopolysaccharide from Krebsiella pneumoniae inhibits Na absorption in canine tracheal epithelium" Infection and Immunity.